中小の賃上げ要求額が大手を上回る/金属労協の賃上げ要求状況

2019年3月6日 調査部

[労使]

金属労協(JCM、議長=髙倉明・自動車総連会長)は1日、本部で記者会見を開き、2月27日現在の賃上げ要求状況を公表した。1,606組合が賃上げ要求しており、賃金構造維持分に上乗せする賃上げ分の平均要求額は4,022円。組合規模別にみると、299人以下が4,182円に対し、1,000人以上が3,440円と、中小の要求額が大手を上回る状況となっている。

「1,000人以上」と「299人以下」では約600円の差

JCMは、自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5つの金属関連産別で構成している。JCMを構成する3,240組合のうち、賃金について要求を提出したのは2,194組合で、ベアや賃金改善などの賃上げ要求を行ったのは1,606組合。要求提出組合に占める賃上げ要求組合の割合は74.7%となっている。

賃上げ要求額の平均を組合規模別にみると、「1,000人以上」が3,440円(組合数183)、「300~999人」が3,866円(同380)、「299人以下」が4,182円(同1,043)と、規模が小さいほど高い要求額となっており、「1,000人以上」と「299人以下」では約600円の差がついている。昨年同時期と比べると、「1,000人以上」は昨年(3,522円)を下回ったが、「300~999人」と「299人以下」は昨年(それぞれ順に3,716円、3,900円)を上回る要求額となっている。

髙倉議長は「規模別にみると、中堅・中小が昨年を上回る賃上げ要求をしている。各組合が賃金の絶対水準を重視して、目指すべき水準を把握して要求を組んで、労使で議論しているところだ」と交渉状況を説明。浅沼弘一事務局長は「中堅・中小の奮闘が数字に表れている」と評価した。

大手の一時金要求は昨年を上回る

一方、大手の主要組合だけを集計した「集計対象組合」の要求状況をみると、今年の集計対象数は53組合。うち49組合が賃上げ要求しており、平均要求額は3,573円となっている。一時金は、31組合が要求し、22組合は業績連動方式などを採用している。要求組合の平均月数は5.67カ月で、昨年同時期(5.59カ月)を0.08カ月上回った。企業内最低賃金協定は、52組合で協定締結しているが、40組合で金額引き上げの要求を行っている。なお、現行の協定額の平均は16万3,113円。

集中回答日は、今年は3月13日(水曜日)とすることが戦術委員会ですでに決まっている。