月例賃金や特別手当等で年収2%を基本に引き上げをめざす/NTT労組の春闘要求

2019年2月15日 調査部

[労使]

NTT東西やドコモ、データなど、NTTグループ企業の労組で構成するNTT労働組合(喜井広明委員長、約15万5,000人)は13日、都内で中央委員会を開き、「2019春季生活闘争方針」を確認した。正社員について基準内賃金および成果手当で2%の改善を要求。「すべての働く仲間の『底上げ』を意識」して、有期契約社員等も年収で2%を基本に改善を求める。喜井委員長はあいさつで、「個別契約である契約社員等への要求について、『有額回答にこだわる要求』とした」などと説明した。

有期・無期雇用と60歳超雇用者の要求獲得を

方針は基本的考え方として、「NTT労組に結集するすべての働く仲間の『底上げ』を意識し、賃金をはじめとする諸制度をトータルで捉えた労働条件改善に取り組む」と主張。そのうえで、要求の確立にあたっては、① 組合員の生活向上 ② NTTグループ事業の成長・発展に寄与している組合員の努力と成果 ③ 中期経営戦略の具現化を含む今後の事業戦略に対応するための「人財への投資」--等の取り巻く情勢等を総合的に勘案して、「年間収入の2%を基本に引き上げをめざす」とともに、「『同一労働同一賃金』を含む、『働き方改革関連法』の対応を強化する」こととした。

要求を「年間収入の2%を基本」としたことについて、平田雅則事務局長は方針提案で「これまでの春闘における有期雇用等および60歳超え(時給制)の厳しい結果を重く受けとめ、今次春闘において、何としても有期雇用等および60歳超えの要求を獲得し、すべての雇用形態における『底上げ』を実現したい」と説明したうえで、「月例賃金改善を第一義に、各種手当、特別手当・一時金等、各企業本部において処遇改善の実現をめざす」考えを強調した。

具体的な要求では、NTT労組中央本部は主要8社に対して、正社員の基準内賃金および成果手当の2%改善を求める。それを踏まえ、企業本部は対置する会社に、正社員2%改善を基本に要求するとともに、すべての雇用形態に具体的要求を確立する。NTT労組の賃上げ要求は2014春闘以降、6年連続。昨年の春闘では、1人当たり平均で月額4,000円の改善要求に対し、正社員は1,800円で妥結したものの、有期契約社員等の賃上げは引き出せなかった。

また、一時金については、昨年獲得した水準を基本に、業績堅調な会社はさらなる上積みをめざす。同一労働同一賃金への対応では、有期雇用・無期雇用、60歳超雇用の処遇の「底上げ」に向けて要求化を図る。

「契約社員等への有額回答にこだわる要求に」(喜井委員長)

喜井委員長はあいさつで、今春闘の方針について、「『現場の組合員は春闘交渉における賃金等の改善に対する強い期待がある』ことなどを中心に据え検討を深めた結果、月例賃金としての改善要求を2%とし、各企業本部においては、賃金制度の有無や個別契約である契約社員等への要求について、『有額回答にこだわる要求』とした」などと説明。「NTT労組は単一組織で、これまで『統一要求・統一交渉・統一闘争・統一決着』による春闘を組織化してきた。今次春闘においても『賃金引き上げを第一義とする』考え方にいささかの変更はなく、『統一要求』について『統一的要求』と読み替えることで、結果にこだわる」と述べた。