ベア要求額は前年より1,600円増の7,600円/私鉄総連の春闘方針

2019年2月6日 調査部

[労使]

大手私鉄やバスなど約230の労働組合が加盟する私鉄総連(田野辺耕一委員長、11万6,000人)は5日、都内で第3回拡大中央委員会を開催し、2019年の春闘方針を決定した。賃上げの統一要求として、月例基本給1人平均2.0%(定期昇給相当分)プラス7,600円(ベースアップ分)の引き上げを求める。

「最後まで月例賃金にこだわりを持つ」/田野辺委員長

方針は、70カ月を超えるといわれる景気拡大に対して「企業の収益は過去最高を更新しているが、賃金は伸び悩み、労働者にその実感はない」と主張。あいさつした田野辺委員長は、「最後まで月例賃金にこだわりを持ち、従来以上に交渉の追い込みを図る」と述べた。

統一要求は月例賃金の引き上げを重視し、定期昇給相当分(賃金カーブ維持分)を2.0%と設定(それに満たない組合は各々の平均基本給の2.0%となるよう交渉する)。加えて、定期昇給に関する制度が確立し定期昇給相当分について労使で確認している組合はベア分として前年より1,600円増の7,600円を要求する。ベア分の内訳は、生活維持分として物価上昇率を0.8%と算定して2,200円、生活回復・向上分を5,400円としている。賃金制度がなく定期昇給分の推計ができない組合は平均基本給2.0%とベア分を合わせて要求する。

高卒初任給などの「ポイント賃金」を重視

年間臨時給(一時金)の要求は、「2018年度の協定月数を維持」「年間5カ月に満たない組合は5カ月とする」としており、前年と同水準となっている。また、賃上げ要求に付随するポイント賃金として、① 「高卒19歳・勤続1年」の最低引き上げ額を1万1,100円とする ② 高卒18歳初任給を15万8,400円としたうえでこの水準に達している組合は現行協定額を7,600円引き上げる ③ バス運転士25歳初任基本給を17万6,000円とする(この水準に達している組合は現行協定額を7,600円引き上げ)―などとした。

このほか、産業別最低賃金要求として「2018年度地域別最低賃金プラス10%を求める」、「最低水準の13万2,300円から引き上げる」などを掲げた。非正規労働者の賃上げについては1時間当たり70円以上の引き上げとし、連合方針の「誰もが時給1,000円」の実現を目指す。

交渉日程は、賃金・臨時給および産別最賃の要求を2月8日に提出、各組合のストライキ権確立投票を同月13日から3月1日正午までと設定。闘争のヤマ場については2月27日の中央闘争委員会で、回答引き出しに向けての戦術日程を決定する。