統一要求は前年を上回る月額2万5,000円以上/国民春闘共闘の2019年春闘方針

2019年1月16日 調査部

[労使]

全労連などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事、小田川義和全労連議長)は1月11日、都内で第1回単産・地方代表者会議を開催し、2019年国民春闘方針を確認した。賃上げの統一要求として、月額で前年(2万円以上)を上回る2万5,000円、時間額で150円以上の引き上げを求める。最低賃金要求としては時間額1,000円・日額8,000円以上・月額17万6,000円以上を掲げた。また、労働時間規制要求として、時間外労働の上限を週15時間・月45時間・年360時間までとすること、勤務時間インターバルを11時間以上とすることを求めるほか、労働基準法第36条の規定に基づく労使協定締結に向けた「新36協定キャンペーン運動」の実施を盛り込んだ。

月額の賃上げ要求を前年より5,000円アップ

方針は、引き上げ額を「月額2万5,000円以上」に設定した根拠として、実質賃金の動きについて「安倍政権のもとでは5%の減となった」「これを取り戻すことが重要だ」とし、働く人々の生活や内需拡大による経済再生などを併せて「実質賃金低下分の約5%に定昇相当分の約2%を加えた7%程度を目指す必要がある」と主張。さらに毎年実施している「はたらくみんなの要求アンケート」(後述)で賃上げ要求額の加重平均が2万5,108円になったことをあげている。

このほかの要求については、最低賃金要求のうち月額賃金水準を月額17万6,000円以上(前年17万円)とした以外は前年と同水準となっている。方針は「全国一律最低賃金制度の確立を視野に最低賃金引上げ闘争と一体として賃金の底上げ・格差是正の課題を重視し、初任給を引き上げ、全体の賃金体系の引き上げを迫る」と述べ、「企業内最賃協定の改善・締結と均等待遇原則に基づく格差是正」「職場・地域から時間額1,000円未満で働く人をなくす」などを掲げている。

代表者会議で提示された「はたらくみんなの要求アンケート」の1月12日付中間報告(昨年12月20日時点の17単産・11万4,485人の回答を集計)では、「正規労働者」で月額賃金の引き上げ要求額を「1万円」と答えた人が28.8%、続いて「3万円」17.8%、「2万円」14.9%などとなり、その加重平均額は2万5,108円だった。今年から新設した「フルタイム有期雇用労働者」の加重平均額は2万3,441円。また、非正規労働者の時間当たり賃金については現在の賃金額と要求する引き上げ額を聞き、「現在の賃金」が1,009.9円、「時間額賃上げ要求」が118.4円(ともに加重平均)という結果だった。

「新36協定キャンペーン運動」に取組む

労働時間規制要求は、「働き方改革」関連法の成立を念頭に、新たに立ち上げる「新36協定キャンペーン運動」の枠組みを利用して進める。36協定が「組合員を守るための有効なツールとして機能しているかどうかを確認し、長時間残業をなくす交渉を強める」として、① 時間外労働を月45時間以内に収める(これを超える「特例」などを認めない) ② 24時間につき11時間の勤務間インターバル導入 ③ 夜勤回数規制――などの協定に取組む。3月6日を「36協定の日」とし、宣伝行動や全国一斉ホットラインなどを実施する。

今春闘においては回答集中日を3月13日に設定、翌日14日を統一行動日とする。その前段で、3月7日に中央行動を設定し、「諸要求の確認とアピールを行う。同日は銀座でのデモなどを予定している。