長時間労働を生む2交替制夜勤職場の割合が過去最高/日本医労連・2018年度実態調査

2018年11月14日 調査部

[労使]

8時間以上の長時間勤務が前提となっている「2交替制夜勤」を行っている職場(2交替病棟)が39.2%と過去最高に――夜勤に従事する看護職員の労働実態が一向に改善されていないことが、日本医労連(森田しのぶ委員長、15万5,000人)の「2018年度夜勤実態調査」で明らかになった。集計されたデータからは、全体として夜勤に頼っている状況は変わっておらず、医労連は看護師の増員などによる改善を求めている。

2交替病棟の割合が増え、看護師の平均夜勤回数も4回以上が定着

調査は毎年実施され、今年度は378施設(入院部門は2,616病棟・看護職員7万2,617人、看護要員8万3,401人)の回答を集約。勤務状況については2018年6月の実績が対象となっている。

2交替病棟の割合は、本調査が始まった1999年には6.5%に過ぎなかったが、2014年に30%と3割台に乗せ、今回、39.2%と4割近くに迫った。これに対し、3交替病棟の割合は99年の93.5%から、今回60.8%へと低下している。また、2交替病棟においては病棟数の59%が16時間以上の長時間夜勤を行っており、前年(43.1%)から大幅に増加している。

さらに、2交替勤務に従事している職員の月当り平均夜勤回数は、4.12回で前年より0.11回増加。最近の動きをみると、この数字は2009年まで3回台で推移していたが翌2010年に4.19回となり、以降4回台で高止まりしている。

2交替制職場をめぐる現状について、医労連は「長時間夜勤に関する労働時間や回数の制限が行われないこと」によって、「労働者に過重労働を強いることにつながる」、「患者の安全と看護職員の健康被害が危惧される」と懸念を示している。2交替制が広まってきている背景について、森田委員長は「夜勤ができる職員の人数がもともと少ない。限られた要員でシフトを組むとなると2交替制のほうが編成しやすい」と要員不足を指摘している。

3交替勤務者の夜勤日数は、「9日以上」が24.4%と依然多い

3交替勤務者の月当たり平均夜勤日数は7.62日で前年(7.69日)より微減。この数字は2000年代以降概ね7.6日前後で推移している。しかし、1992年に制定された看護師確保法(看護師等の人材確保の促進に関する法律)に基づく基本指針に盛られた「月8回以内」の水準を上回る9日以上の夜勤を行った職員は24.4%と、前年(23.9%)を上回っている。

このほか、調査ではICU(集中治療室)・CCU(冠疾患集中治療室)などの職場で夜勤日数が多いことを指摘。3交替勤務者で月当たり平均夜勤日数9日以上の職員の割合は39.8%に達している。

勤務間インターバルの実態はILO勧告の水準から大きく乖離

国際労働機関(ILO)の「看護職員の雇用と労働および生活条件に関する勧告」(157号)では「勤務と勤務の間に少なくとも連続12時間以上の休息期間」を設けるべきとしている。これに対し、今回の調査では、最も短い勤務間隔が「8時間未満」と答えた割合が45.4%、「8時間以上12時間未満」が14.5%となり、合せると59.9%と半数を大きく超えた。これに対し「12時間以上16時間未満」は34.1%、「16時間以上」は6.0%にとどまった。12時間未満の割合は、前年の「8時間未満」(49.0%)と「8時間以上12時間未満」(15.7%)を合わせた64.7%からは減少しているが、依然として医労連が重視するILO勧告の水準とは大きく隔たっている。