36協定の周知・浸透に向けキャンペーン「Action!36」を展開/連合の中央委員会

2018年10月12日 調査部

[労使]

連合(神津里季生会長)は11日、千葉県浦安市で中央委員会を開催し、2019年度活動計画を確認した。主な活動として、労働基準法第36条が規定する時間外労働にかかる労使協定(いわゆる36協定)の適切な締結をすべての職場で取り組むとするキャンペーン「Action!36」を来年3月まで展開する。

3月6日を「36協定の日」に制定

活動計画は、今期(2018年度~2019年度)の残された課題として、来年の定期大会で確立する予定の組織・運動にかかる新構想である「連合ビジョン(仮称)」の策定や、すべての働く者・生活者のくらしの底上げ、また、時間外労働の上限規制など「働き方改革」の実効性確保に向けた審議会などでの意見反映、2020年を最終期限とした組織化戦略である「1000万連合」の達成に向けた取り組みの加速などをあげる。

2019年度に展開する具体的な活動の1つである労働条件の底上げでは、「ディーセント・ワーク実現に向けたワークルールの整備」を掲げており、「改正労働基準法における時間外労働の上限基準などにおいて、実効性ある省令・指針などを定める」と明記。また、長時間労働是正に向け、「原則的上限(月45時間、年360時間)を踏まえた労使協定締結の取り組みを強化する」と強調している。「すべての職場で労働時間の適正な把握・管理と36協定の適正化がなされるよう、周知の取り組みを進める」ことも盛り込んだ。

具体的には、「Action!36」と銘打ったキャンペーン活動を来年3月末まで展開する。キャンペーン名の36は、36協定にちなんだ。なお、労働基準法では、事業主が従業員に対して時間外労働を行わせる時に、過半数組合か、過半数組合がない場合は労働者の過半数代表と協定を締結しなければならないことを第36条で規定しており、この協定は一般的に「36(サブロク)協定」と呼ばれる。

来年4月1日から、罰則付の時間外労働の上限規制や年次有給休暇の時季指定義務が施行されることもあり、36協定を含めた労働基準法の内容の周知・浸透化を図るため、組織内向けの取り組みとしてハンドブックやリーフレットを作成。組織外向けの取り組みとしては、3月6日を「36協定の日」に制定して(日本記念日協会へ登録申請する)イベントを開催したり、経済団体などへの働きかけも行う。

神津会長はあいさつで「連合初の、しかし連合だけではなく、長時間労働是正、過労死・過労自殺ゼロを願うありとあらゆる人たちの結び会う運動として、36(サブロク)の日を1つのシンボルとして大きなうねりを起こしていこう」と強調した。

「到達すべき目標の引き上げをより強く意識すべき」(神津会長)

一方、春季生活闘争に関しては、活動計画は「春季生活闘争や通年的な労使協議を通じて、労働条件の『底上げ・底支え』『格差是正』と『すべての労働者の立場にたった働き方』の実現をはかる。内外での情報発信を充実させ社会的横断化の促進をはかる」とした。連合は2019春季生活闘争方針の確立に向け、今月18日に開催する中央執行委員会で、方針案のたたき台となる春闘構想案を提示する予定。

神津会長は中央委員会会場での囲み取材のなかで、方針案策定に向け、「この数年間、底上げに取り組んできて、ベア分が明確な組合では中小が大手を上回る結果を得たが、賃金制度が明確でない組合をみると、水準も定昇額も大手の方が高い。また、連合全体でみるとこの20年間、賃金水準の差は広がりっぱなしであり、取り組みはまだ始まったばかりといえる。さらに、世の中全体の賃金水準でみると、我々がかかげる目標とは大きくかけ離れている。よって、今までの取り組みの繰り返しだけでいいのか。到達すべき目標も掲げながら、それをもっと引き上げていくことを各労使で強く意識して要求を組み立てていくことを指向していく必要があるのではないか」と述べた。ただ、賃上げ幅の要求水準を連合が示さなくなるなどの見直しが行われる可能性について神津会長は「いきなり(上げ幅を)かかげないなんてことは、私は常識的にはないのではないかと思う」との見方を示し、これまで方針で示してきた上げ幅水準である「2%基準」については、連合総研が毎年作成する経済シミュレーションなど「マクロの要請」を考慮に入れて策定している点も強調した。

新在留資格創設には働く者・生活者の視点で対応

神津会長はあいさつで政府の「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針2018)に新たな在留資格の創設が盛り込まれたことについて言及し、「我々はあくまでも働く者・生活者の視点から、この受け入れ制度の問題点などについて広く世論喚起をはかって対応していきたい」などと述べた。

JR総連の会費納入人員は2万2,912人へ

中央委員会ではこのほか、JR総連からの連合会費減免申請について了承した。JR総連では、加盟組織であるJR東労組での組合員の脱退が相次ぎ、組合員数が大幅に減少した。そのため、8月にJR総連から、会費納入人員について、現在の4万7,762人から2万2,912人に7月分から変更したいとする申請が提出されていた。