2019春闘を含む「総合生活改善闘争の基本的考え方」を確認/生保労連定期大会

2018年8月29日 調査部

[労使]

生保労連(大北隆典委員長、23万4,000人)は22日、都内で定期大会を開き、2018年度の運動方針を決めた。総合的な労働条件の改善・向上については、2019春闘も含めた「総合生活改善闘争の基本的考え方」を提示。前年に引き続き、 ① 経営の健全性向上 ② 営業職員体制の発展・強化 ③ 賃金関係 ④ ワーク・ライフ・バランスの実現 ⑤ 多様な人材が活躍できる環境整備――の5本の統一取り組み課題を設定している。

働き方改革に向けた労使共同宣言も採択

生保労連では2004年度から、春闘を「労働諸条件全般を見据えた総合的な生活改善闘争」と位置付け、年間を通じた統一闘争を進めている。2018春闘では、総合生活改善闘争全体の目的・考え方として、「『人への投資』と『経済の好循環実現』の視点を重視し、取り組みのさらなる強化につなげるとともに、労働組合としての社会的役割を一層発揮することを目指す」ことを提示。組合員一人ひとりが「働きがい・生きがい」を実感できる総合的な労働条件の改善・向上に向け、 ① 経営の健全性向上 ② 営業職員体制の発展・強化 ③ 賃金関係(営業支援策の充実、賃金改善【営業職員関係】、賃金改善、人事・賃金制度【内勤職員関係】) ④ ワーク・ライフ・バランスの実現 ⑤ 多様な人材が活躍できる環境整備――の5本柱の統一取り組み課題を設定し、秋季から取り組みを展開してきた。

特に、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けては、全組合が取り組む「統一共闘課題」として「長時間労働の是正に向けた労働時間の実態把握の強化」を設定し、年間を通じて取り組みを推進。「働き方改革」に関しても、昨年12月に生保協会との間で、金融業界では初となる「働き方改革に向けた生保産業労使共同宣言」を採択し、産業労使の基本認識や取り組みの方向性の共有につなげてきた。

幅広い要求を行い、着実な成果が/営業職員

大会で報告された「2018春闘の取り組みの成果と課題」によると、営業職員の賃金改善については、日々の活動・努力が反映される労働評価を目指して、10組合が取り組んだ。その結果、「支給規定上の改善」(2組合)、「新契約活動に対する労働評価」(8組合)、「保有・保全活動に対する労働評価」(4組合)、「資格格付基準の緩和」(5組合)、「臨時・特別措置の実施」(6組合)、「施策関係」(2組合)などの回答を獲得した。他にも、新規損保販売や採用協力に対する評価の引き上げ等の回答を引き出したという。

「成果と課題」は、「『賃金改善の概念』を踏まえた幅広い内容の要求を行い、着実な成果があった」などと評価。そのうえで、今後の課題として、「『新契約活動』および『お客さまサービス活動』に対する労働評価を要求根拠の主体とし、組合員の期待・納得感に最大限応える取り組みを進めていく必要がある」としている。

2組合で「全層一律の月例給与の引き上げ」を獲得/内勤職員

一方、内勤職員の賃金改善では、月例給与で8組合、臨時給与で12組合、年収制で3組合が、統一要求基準に沿った回答を引き出している。

特に月例給与においては、1990年代半ばを最後に実施のなかった全層一律での月例給与の引き上げを2組合が獲得。さらに、臨時給与や年収制をみても、支給水準の引き上げ回答が引き出されるとともに、生産性向上加算の導入や、パート・契約社員、継続雇用嘱託社員の処遇改善も図られるなどの回答が引き出されている。

「成果と課題」は、「賃金改善要求の考え方について、方針の一層の定着・浸透を図る」とともに、同一労働同一賃金の法制化等の動き等を踏まえ、「パート・契約社員等の処遇改善に向けた取り組みを推進する」必要性を指摘している。

「人への投資」と「経済の好循環実現」の視点を一層重視する

こうした結果を踏まえ、大会では2019春闘の基本的な考え方や取り組み課題を包含した「総合生活改善闘争・基本方針」を確認した。基本方針は前年同様、5つの統一取り組み課題を設定。「『人への投資』と『経済の好循環実現』の視点を一層重視して取り組みを進めていく」(大北委員長)考えだ。

「経営の健全性向上」と「営業職員体制の発展・強化」については、通年的な取り組みを中心に、各組合が主体的・積極的に課題を設定し取り組む。「賃金関係」は、業界・一般情勢、労働界の動向、組合員の期待・納得感等を踏まえて検討を行い、来年1月に開く中央委員会で「統一要求基準」を決定し、要求の実現を目指す。

さらに、中期方針に沿って「ワーク・ライフ・バランス実現」の取り組みを推進するほか、「多様な人材が活躍できる職場づくり」に関しても、 ① 職場における男女共同参画 ② 60歳以降の就労環境 ③ パート・契約社員 ④ ダイバーシティ&インクルージョン――を軸に、各組合が課題認識や組織事情に応じて主体的な取り組みを推進する。

なお、役員改選では大北隆典委員長(朝日生命)が再任。宮本進平書記長が退任し、新書記長には日下部大樹副書記長(第一生命)が選ばれた。