300人未満の賃上げ率が全体平均および300人以上を上回る/連合第3回集計

2018年4月11日 調査部

[労使]

連合(神津里季生会長)は4月6日、2018春季生活闘争の第3回回答集計結果(4月4日17時時点)を公表した。要求を提出した5,678組合のうち2,566組合について集計した平均賃金方式での賃金引き上げ額は定昇相当分込み6,262円、率で2.13%となった。一方、ベースアップなど賃上げ分が明確な1,643組合の賃上げ額は、全体平均で1,674円、率は0.55%。規模別では、300人以上が額1,681円、率0.54%、300人未満は額1,570円、率0.62%で、300人未満が全体平均および300人以上の賃上げ率を上回る水準になっている。このほか、「働き方」の見直しでも、長時間労働是正や均等待遇実現に向けた取り組み等で前進回答が見られている。

4月4日時点の賃上げは6,262円、2.13%

4月4日時点の回答集計結果を見ると、集計組合総数は8,150組合で、要求提出組合は5,678組合。このうち、平均賃金方式では2,566組合が回答を引き出し、定昇相当分込みの賃上げ額(集計組合員数による加重平均)は6,262円、率(同)は2.13%となった。前年の第3回集計は3月29日時点で行われており、単純な比較はできないが、それに比べ、額で115円、率でも0.08ポイント上回っている。

このうち300人未満の組合では、これまでに回答を引き出した1,581組合の賃上げ額は5,180円で、率は2.06%。こちらも前年集計を額で209円、率も0.07ポイント上回った。中間集計段階としては、消費増税に伴う物価上昇分を加味して要求・回答引き出しが行われた2015年の5,185円(2.08%)に迫る高水準となっている。一方、業種別では、商業流通の300人未満が35組合の一人当たり加重平均で前年集計に比べ745円、0.27ポイント増と、額、率ともに前年を大きく上回っている。

「中小自らが賃金水準にこだわって交渉を進めている成果」(相原事務局長)

平均賃金方式で集計した組合のうち、定昇相当分を除くベア・賃金改善分など賃上げ分が明確な1,643組合の賃上げ分を見ると、額は1,674円、率は0.55%。規模別では、300人以上(758組合)が額1,681円、率0.54%なのに対し、300人未満(885組合)は、額は1,570円、率が0.62%で、300人未満が率で全体平均および300人以上を上回る水準となっている。

相原康伸事務局長は会見で、「賃上げ要求の裾野が広がり、解決状況も3月月内決着の流れが大きく前進している。持続性で見ても賃金引き上げの流れ、勢いが衰えることなく継続している」と指摘したうえで、300人未満の平均賃上げについて、「中小の頑張りを前に打ち出していこうと進めているが、2014年以降で最も水準の高かった2015年の水準とほぼ同等の賃上げ額という実績を獲得している」と強調。「中小自らが賃金水準にこだわって交渉を進めている成果だと受け止めたい」などと評価した。

なお、一時金は、年間月数での加重平均が5.00カ月で前年集計を0.06カ月上回った。金額では1,417円減の161万6,773円となっている。

非正規労働者の時給は前年集計比3円強の引き上げ

非正規労働者の時給引き上げの状況を見ると、単純平均の賃上げ額が25.67円、加重平均は26.70円。前年集計と比べると、単純平均で1.04円、加重平均で3.21円上回った。なお、平均時給は単純平均が989.90円、加重平均が973.91円となっている。

一方、月給の引き上げ状況は、単純平均の賃上げ額が4,639円で、率は2.23%。加重平均では額が4,991円で、率は2.38%となった。

36協定や無期転換ルールの取り組みでも前進回答

今回の集計では、全ての労働者の立場にたった「働き方」の見直しに関する取り組みについても、要求と回答・妥結状況をまとめている。

長時間労働の是正に関する取り組みを見ると、「36協定の点検や見直し」について、1,388件の要求があり、そのうち618件が回答・妥結した。「時間外・休日割増率引き上げの取り組み」は、要求が640件あり、回答・妥結したのは81件。「インターバル規制の導入に向けた取り組み」は、293件が要求し、104件が回答・妥結に至っている。

また、職場における均等待遇実現に向けた取り組みでは、「無期労働契約への転換促進および無期転換ルール回避目的の雇い止め防止と当該労働者への周知徹底」を1,210件が要求し、674件で回答・妥結が図られた。「正社員への転換ルールの整備と運用状況点検」も729件の要求に対し、139件が回答・妥結している。

このほか、「一時金支給の取り組み」(要求540件、回答・妥結137件)、「社会保険の加入状況の確認・徹底と加入希望者への対応」(要求467件、回答・妥結54件)、「再雇用者(定年退職者)の処遇に関する取り組み」(要求605件、回答・妥結208件)などでも一定の前進が図られている。