鉄鋼は18、19年度各1,500円、造船・重機は1,500円の賃金改善/基幹労連傘下の総合大手組合

2018年3月16日 調査部

[労使]

基幹労連(神田健一委員長、約26万4,000人)に加盟する大手労組の賃上げ交渉は、鉄鋼は18、19年度それぞれ1,500円、造船・重機は2018年度で1,500円の賃金改善の回答を受けた。非鉄では、住友金属鉱山の組合が2018年度について満額回答となる3,500円の賃金改善を獲得した。

新日鐵住金、JFEスチール、神戸製鋼所、日新製鋼の鉄鋼大手メーカー4社の労働組合は、「2018年度3,500円、2019年度3,500円」の賃金改善を求めていた。それに対し、各社の経営側は賃金改善への財源投入として、「2018年度1,500円、2019年度1,500円」を組合に回答した。

三菱重工、川崎重工、IHI、住友重機械、三井造船、キャタピラージャパン、日立造船の造船・重機大手の各組合は、2018年度の単年度要求で3,5000円の賃金改善を要求。各社の経営側は1,500円の賃金改善を回答している。

住友金属鉱山は3,500円の満額回答

非鉄大手では、三菱マテリアル、住友金属鉱山、三井金属、DOWAホールディングスの4社の労組が2018年度に3,500円の賃金改善を要求。JX金属の労組も2018年度に3,910円の引き上げを求めた。これに対し、14日には住友金属鉱山とDOWAホールディングスの2社が賃金改善を実施すると回答。住友金属鉱山は3,500円の満額回答で応え、DOWAホールディングスは1,000円を回答した。その後、JX金属は1,200円の回答を示したが、三井金属は回答を見送った。なお、三菱マテリアルは子会社による品質不正問題を受けて、今月末とされている特別調査委員会の報告を待ったうえで労使協議が行われる見込みだという。

なお、造船・重機と非鉄の総合組合の2019年度の要求に関しては、「基幹労連の部門方針に基づき、3,500円以上を基本に別途検討する」としている。

このほか、今春闘では、産別重点項目として要求していた65歳現役社会の実現に向けた労働環境の構築を要求し、会社側からそれぞれ、労使による話し合いの場の設置等の回答が示されている。

人への投資について企業側としても受け止めがあった(神田委員長)

一方、一時金では、鉄鋼大手は4社すべて業績連動方式。造船・重機大手の回答は、三菱重工が「年間5.7カ月+生産協力金2万円」、川崎重工は業績連動方式、IHIは「年間5.0カ月+協力金3万円」、住友重機は5.68カ月、日立造船は「16万円+4カ月」など。非鉄大手は住友金属鉱山のみが交渉方式で、年間181万円+特別一時金3万円で決着した。

神田委員長は大手組合に示された回答を受けて、「それぞれが横一線、統一的な取り組みがまとまったなかで(交渉等が)できた。人への投資について、企業側としても受け止めあったのではないか」などと評価した。