ヤマ場の賃上げ獲得額は過去3年間で最高/金属労協の回答結果

2018年3月16日 調査部

[労使]

金属労協(JCM、髙倉明議長、約200万人)が集中回答日に設定した14日現在での大手組合の回答状況は、ベアなどの賃上げ獲得額が、過去3年間で最も高い水準となった。同日、本部で会見した髙倉議長は「人への投資による組合員の意欲・活力向上、企業基盤の強化に寄与するものと確信する」などと評価した。

賃上げ獲得額の平均は1,548円で前年比497円増(15日現在)

15日10時現在の回答集計によると、集中回答日までに回答を引き出し、相場形成役となる大手を中心とした55の「集計対象組合」はすべて賃上げを要求しており、うち52組合が回答を引き出した。賃上げを獲得したのは51組合で、獲得した賃上げ額の平均は1,548円となっており、前年の獲得額(1,051円)を上回るとともに、3,000円以上の賃上げ要求基準を掲げた過去3年間で最も高い額となっている。

一時金の平均は5.37カ月

一時金は、集計対象である55組合のうち、33組合が交渉方式をとっている。29組合が回答を引き出しており、回答の平均月数は5.37カ月(昨年実績は5.14カ月)。企業内最低賃金協定の取り組みでは、40組合が要求を行い、23組合が水準引き上げを獲得。平均引き上げ額は1,276円となっている。

14日、大手組合の回答が出揃った昼すぎに金属労協本部で会見した髙倉議長(自動車総連会長)は、今次交渉の経過について「経営側は賃上げに対する社会的要請や人への投資の重要性については一定の理解を示したものの、産業・企業を取り巻く環境が激変しつつあるなかでの先行き不透明感を強調した。産業構造の転換に対応するためにも産業・企業の生き残りをかけての論議が熱心に真摯に行われ、例年より論議に時間を費やしたこともあり、賃上げの具体的な交渉は最終局面までずれ込んだ」と説明。賃金についての回答状況について、集計対象組合すべてで賃上げを獲得するとともに、ほとんどが前年実績を上回ったことから、「人への投資による組合員の意欲・活力向上、企業基盤の強化に寄与するものと確信する」と評価した。