大手の賃上げ要求額は平均3,782円/金属労協・集計登録組合の要求状況

2018年3月7日 調査部

[労使]

金属関連の5産別でつくる金属労協(JCM、髙倉明議長、約200万人)は1日、2018闘争の要求状況を公表した。2月28日現在で、ベアなどの賃上げ分を要求した大手の集計対象組合は54組合で、賃上げ分の要求額の平均は3,782円。昨年も賃上げ要求した同一の組合で要求額を昨年と比較すると、33円上回った。

規模が小さいほど要求額は高めの水準

金属労協を構成するのは、自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5産別。集中回答日(今年は3月14日)までに回答を引き出し、相場形成役が期待できる大手を中心とする加盟組合を「集計対象組合」として登録している。

1日に公表した集計対象組合の要求状況(2月28日現在)によると、今年の集計対象組合数は55。このうち、賃金構造維持分だけでなく、ベアや賃金改善などの賃上げ分を要求した組合数は54となっている(残り1組合は横河電機労組で2日要求提出のため集計に含まれていない)。賃上げ要求額の平均は3,782円で、昨年要求額(3,768円、49組合)を14円上回った。昨年と正確に比較するため、同一の組合で比較すると、今年の平均は3,869円で、昨年の3,836円を33円上回っている。

一時金は、32組合が要求・回答方式で、21組合が業績連動方式となっている。要求水準を昨年と比較できる組合だけでみると、昨年よりも要求を上積みした組合数が17、同水準が8、下げたところが5と、上積みした組合が最も多い。

企業内最低賃金協定の取り組みでは、現行では54組合が協定締結しており、平均額は16万2,174円となっている。今年は40組合が引き上げ要求を行っている。

また、金属労協全体(3,251組合)での要求状況をみると、2,120組合が賃金について何らかの要求を提出しており、このうち賃上げ分を要求しているのは1,739組合(82.0%)。賃上げ要求額の平均は3,812円で、前年における3月第1週時点での要求額平均(3,679円)を上回った。要求額平均を組合規模別にみると、299人以下が3,900円、300~999人が3,716円、1,000人以上が3,522円となっており、規模が小さい組合ほど高い要求額となっている。

1日に会見した金属労協の浅沼弘一事務局長は「JCM全体としての要求は順調に滑り出した」としながらも、1、2回目の交渉では経営側から厳しい反応があったと聞くと述べ、「14日の回答指定日まで厳しい交渉が進行するのではないか」とコメント。中小労組の要求額が大手を上回っている点については「JCMのなかで賃金の底上げ・底支えの必要性をずっと強調してきたことが浸透して、それが行動につながってきた」と評価するとともに「人手不足が年を追うごとに厳しくなっていることも背景にある」との見方を示した。

金属労協ホームページ