前年より400円アップのベア6,000円を統一要求/私鉄総連拡大中央委員会

2018年2月2日 調査部

[労使]

大手私鉄やバスなど約230の労働組合が加盟する私鉄総連(田野辺耕一委員長、11万6,000人)は1日、都内で第2回拡大中央委員会を開催し、2018年の春闘方針を決定した。賃上げの統一要求として、月例基本給1人平均2.0%(定期昇給相当分)プラス6,000円(ベースアップ分)の引き上げを求める。

「官製春闘とは言わせない」/田野辺委員長

あいさつした田野辺委員長は、政府や経営者団体で「3%」の賃上げ水準が取り沙されている現状に対し、スト権を確立するなど「従来どおり戦う」とし、「官製春闘とは言わせない」と強調した。

方針は、日本の交通運輸産業を担う労働者について「その処遇は決して恵まれているとはいえない」と指摘し、「産業間格差や地域間格差の是正」を求めている。月例賃上げ要求は、基本給を「『定期昇給分(賃金カーブ維持分)2.0%』プラス『生活維持分+生活回復・向上分(ベア分)6,000円』引き上げる」とした。ベア分の金額は前年(5,600)円を400円上回っている。

統一要求は前年と同様、① 定期昇給相当分(賃金カーブ維持分)が2.0%に満たない組合は各組合の平均基本給の2.0%となるよう交渉する ② 賃金交渉を進めるうえで定期昇給相当分の労使確認を徹底する ③ 定期昇給に関する制度が確立し定期昇給相当分について労使で確認している組合はベアとして生活維持分+生活回復・向上分を要求基準とする ④ 賃金制度がなく定期昇給分の推計ができない組合は平均基本給2.0%と生活維持分+生活回復・向上分を要求する――としている。

このほか、方針は年間臨時給要求として「2017年度の協定月数を維持」「年間5カ月に満たない組合は5カ月とする」、産業別最低賃金要求として「2017年度地域別最低賃金プラス10%を求める」などを打ち出している。ポイント賃金としては、「高卒19歳・勤続1年」の最低賃金引き上げ額を9,500円とすること、高卒18歳初任給を15万7,100円に設定したうえでこの水準に達している組合は現行協定額を6,000円引き上げることなどを定めた。

産業別統一行動で長時間労働是正と働き方改革に取り組む

私鉄総連は、「要因不足の大きな原因」となっている長時間労働に関して、2017年秋闘の要求課題として掲げるなどして取り組んできた。今国会で審議される時間外労働上限規制案についてバス・タクシーなどの自動車運転者は「今回の改正労基法が施行された5年後に上限年間960時間として、一般則(720時間)の適用までさらに猶予する方向性が示されている」としたうえで、方針は「命と安全に関わる喫緊の課題」と位置づけ「政府に対し一般則の早期適用を求める」とし、厚生労働省、国土交通省への政策要求を進めることを打ち出している。

今春闘の交渉日程は、賃金・臨時給および産別最賃の要求提出を2月8日、各組合のストライキ権確立投票を同月14日から3月2日などと設定。闘争のヤマ場については2月28日の中央闘争委員会で、戦術日程を決定する

次期参院選の組織内候補が立憲民主党に公認申請

中央委員会では、来年夏の参議院議員比例代表選挙に擁立する私鉄総連の森屋隆氏(2016年参院選では民進党から立候補)が公認申請する政党について、立憲民主党とすることを決めた。中央委員会には同党の枝野幸男代表と福山哲郎幹事長が揃って出席し、森屋氏とともにあいさつを交わした。