賃上げ要求水準は前年と同じ2%程度を基準に/連合の18春季生活闘争基本構想

2017年10月20日調査部

[労使]

連合(神津里季生会長)は19日、中央執行委員会を開き、2018春季生活闘争に向けた基本構想を確認した。基本構想は、すべての働く者の「底上げ・底支え」「格差是正」の取り組みの継続を明記。賃上げ要求水準は「賃金は上がるものとの常識を取り戻さなくてはならない」(神津会長)との考えの下、2016、2017闘争と同様に「2%程度を基準(定昇相当含め4%程度)」とした。すべての労働者の立場にたって長時間労働是正や均等・均衡処遇の実現などに向けた「働き方」の見直しについて、法改正に先駆けた取り組みを進める姿勢を前面に打ち出している。

すべての働く者の『底上げ・底支え』『格差是正』の実現を

基本構想は冒頭、「所得の向上による消費拡大をはかることが必要であり、すべての働く者の『底上げ・底支え』『格差是正』の実現が必要」などと指摘。そのうえで、「賃金の社会的水準を重視した取り組みを継続するとともに、とりわけ、中小企業労働者や非正規労働者の処遇改善のためにも、『大手追従・大手準拠などの構造を転換する運動』『サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配』の流れを継続・定着・前進させる取り組みを進めていく」との姿勢を明記した。

また、働き方改革の具体的な議論を行う個別企業労使についても触れ、「『人材の確保・定着』と『人材育成』がこれまで以上に重要課題となる」として、「長時間労働を是正し、正規労働者・非正規労働者を問わず、個々人の状況やニーズにあった多様な働き方を選択できる仕組みを整えていくことで、それぞれの能力を高め、それによって生み出された労働の質的向上分に応じた適正な処遇を確保することが必要」と主張している。

賃上げの流れ・定着を重視、定昇含め4%程度

連合がまとめた「2017春季生活闘争回答集計結果」(7月5日発表)によると、基本給を一律に引き上げるベースアップと定期昇給を合わせた平均賃上げ率は1.98%(前年2.00%)となり、前年実績を0.02ポイント下回った結果、4年連続の2%台とはならなかったが、規模別にみると組合員数300人未満(1.87%)で、前年を0.06ポイント上回った。この結果を受け、連合は「企業規模間の格差是正に努め、底上げを確実に進めることができた」と評価している。

基本構想はこうした17闘争の結果を踏まえ、「月例賃金の引き上げにこだわり、賃金引き上げの流れを継続・定着させるとともに、『底上げ・底支え』の実効性を高める」などとしたうえで、「あらゆる手段を用いて『底上げ・底支え』『格差是正』」に構成組織が一丸となった取り組みを継続していく」ことを強調。そうした観点からも「引き続き、名目賃金の到達目標の実現やミニマム基準の確保に取り組む必要がある」とした。

そのうえで、賃上げ要求水準は2016、2017闘争同様、「2%程度を基準とし、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め4%程度とする」考えを示している。

中小は1万500円を要求、非正規は時給1,000円を実現する

具体的な要求項目に対する考え方としては、「賃金水準の上げ幅」だけでなく、目指すべき水準への到達など「賃金水準の絶対値」にこだわることを前面に掲げる。そのうえで、中小共闘の賃金引き上げ要求の目安も、2017闘争と同じ1万500円(賃金カーブ維持相当分4,500円)とした。なお、「地域ミニマム」運動で把握した個別賃金水準が世間相場(地域・同業他社)と比較して相応な水準を確保していない場合、その是正も求めていく考えだ。

非正規労働者の時給引き上げは、「働き方改革実現会議などにおける労働者側委員の発言趣旨を踏まえて「『誰もが時給1,000円』の実現を実現する」。また、既に時給1,000円を超えている場合は、時給引き上げの目安を37円に設定している。

法改正に先行する長時間労働是正を推進

また、今回の基本構想では、罰則付き時間外労働の上限規制など長時間労働是正に向けた労働基準法改正が行われることの趣旨と意義を踏まえ、長時間労働是正に向けて法改正に先行する職場の基盤づくりに取り組む。

具体的には、時間外労働の労使協定である36協定については、① 「月45時間、年360時間以内」を原則に締結する ② やむを得ず特別条項を締結する場合においても、年720時間以内とし、原則を踏まえ、より抑制的な時間となるよう取り組む ③ 休日労働を含め、年720時間以内となるように取り組む ④ 本則の適用猶予となっている業種(自動車運転業務、建設事業、医師等)についても、原則に近づけるための労使協議を行うとともに、適用除外となっている業務(新商品・新技術などの研究開発)についても、本則を適用するよう労使協議を進める――としている。

さらに、現在は適用が猶予されている中小企業においても、月60時間を超える割増賃金率を50%以上に引き上げることや、終業から次の始業との間に原則11時間の休息を設ける「勤務間インターバル規制」の導入についても労使協議を進めることなどを求める。

このほか、改正労働基準法や同一労働同一賃金の実現、改正労働者派遣法、有期労働契約(無期転換ルール)などに関する取り組みについても、「すべての職場でのディーセント・ワークの実現とワーク・ライフ・バランスの推進、コンプライアンスの徹底をはかる観点で、討論集会などで議論を深める」構えだ。

「率先して長時間労働是正、均等待遇実現の中身をつくっていく」(神津会長)

神津会長は同日の会見で「2016闘争、2017闘争で底上げの旗を掲げて取り組んできた。とりわけ今年は中小が大手を上回り、非正規の賃金アップ率も正規を上回ることが当たり前の成果として手に取ることができた」と振り返ったうえで、「まだ不十分。これをさらに継続・強化し広げていかねばならず、賃金は上がるものとの常識を取り戻さなくてはならない」などと述べて、5年連続での賃上げの実現を強く訴えた。

さらに、働き方改革についても、「まず自分たちが率先して長時間労働是正、均等待遇実現の中身をつくっていかねばならず、先鞭をつけていきたい。きちんとした労使関係がないと、なかなか実際には進まない。そういうことも含めての世の中へのアピールしていく」などとして、法改正に先んじて処遇改善を図っていく姿勢を強調した。

基本構想は春季生活闘争方針の確立に向けて、構成組織による議論のたたき台となるもの。11月1日~2日に開催する2018春季生活闘争中央討論集会を起点に組織討議を踏まえ、12月5日の中央委員会で闘争方針が決定される。