髙倉明氏を新議長に選出/金属労協大会

2017年9月6日 調査部

[労使]

自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5つの金属関連産別労組でつくる金属労協(JCM、相原康伸議長、約201万人)は5日、東京都江東区で定期大会を開催し、昨年確立した2年間の運動方針を補強する2018年度活動方針を決定するとともに、役員改選を行った。10月に連合事務局長に就任予定の相原議長(自動車総連会長)が退任し、近く自動車総連会長に就任する予定の髙倉明同総連副会長(日産労連会長)が新議長に就いた。

同一価値労働同一賃金の具体化に向けた検討を

活動方針によると、国内労働運動では、昨年の定期大会で確認した ① 雇用の安定を基盤とした多様な人材の活躍推進 ② 「同一価値労働同一賃金」を基本とした均等・均衡待遇の確立 ③ ワーク・ライフ・バランスの実現――を3本柱とする「第3次賃金・労働政策」に沿って、課題の解決に向けて前進を図るとしている。同一価値労働同一賃金については、具体化に向けた検討に着手する。

なお、労働契約法の改正に伴う有期契約労働者の無期転換に際しては、正社員と区別された無期雇用に転換することのないよう留意し、一般的な正社員への転換を基本とする。

賃金・一時金の取り組みでは、「生産性3原則」の実践を強調。また、「大手・中小労組を問わず、すべての組合における継続的な賃上げ獲得をめざし、賃上げ要求・獲得組合の拡大を図る」としている。

賃金格差の是正に向けては、「中小労使が資本関係や取引関係による制約を受けず、産別方針の下で主体的に判断することが定着していくよう、継続的に取り組む」とし、特定最低賃金の維持・強化に向けては、企業内最賃の要求基準の示し方を再検討する。

アジア・太平洋各国の意見を集約できる新しい枠組みを

一方、国際労働運動に関しては、IMF(国際金属労連)加盟時代から続けてきたアジア金属労組連絡会議を昨年発展的に解消したことを踏まえ、2018年に予定するインダストリオールアジア太平洋地域大会に向け、アジア・太平洋の各国の意見を集約できるような、新しい枠組みを具体化する。

なお、2017年1月から、インダストリオール・グローバルユニオン日本加盟組織協議会(JCM、インダストオリール・JAF、UAゼンセンで構成)の活動を開始した。協議会については、3組織間の連携を強化しつつ、効率的、効果的な運営に向けさらに努力することを盛り込んだ。

18年闘争の早期の方針論議や積極的な取り組みを求める声が

活動方針に関する討議では、加盟5産別すべてが発言。電機連合は、2018年闘争における賃金の取り組みに向けて、「2017年闘争では経営側から以前より増して慎重な発言があったことを踏まえると、相当厳しい闘争となることを覚悟する必要がある。早めの方針論議が必要だ」と述べた。全電線も2018年闘争に向け、「JCM一丸となった取り組み」を要望するとともに、年間総実労働時間の短縮やワーク・ライフ・バランスについての積極的な取り組みを求めた。基幹労連は、エネルギー需給がひっ迫している状況を指摘しながら、原子力発電所の早期再稼働に向けた支援を要望するとともに、海外労使紛争に関するJCM本部の情報収集力強化などを求めた。

中小の時間外割増率猶予措置の早期解消も

JAMは、バリューチェーンにおける「付加価値の適正循環」の取り組みについて、「下請法、下請振興法の対象となる取引関係は限定的で、実態に必ずしも沿ったものとなっていない。取引において優越的地位の濫用とならないように企業規模にかかわらず必要なものやサービスに対してふさわしい対価を支払う、ものづくりの価値を認めあう社会づくりに引き続き取り組んで欲しい」と要望するとともに、中小企業の月60時間超の時間外割増率に関する猶予措置の解消を盛り込んだ改正労働基準法の早期成立を求めた。

自動車総連は、インダストリールにおける日本の意見反映においての強いリーダーシップの発揮を求めるとともに、2018闘争に向けて、「働き方を含めた産業全体の底上げ・格差是正を図っていくためにも、働き方改善を賃金引き上げを始めとした労働諸条件と並ぶ柱とした上で、さらに付加価値の適正循環の運動と連動させた取り組みの検討を深めたい」と述べた。

役員改選では、新議長に髙倉日産労連会長が就き、副議長は野中孝泰・電機連合委員長、安河内賢弘・JAM会長、神田健一・基幹労連事務局長(委員長就任予定)、岩本潮・全電線委員長という顔ぶれとなった。事務局長の浅沼弘一氏(電機連合)は留任した。

賃上げ集計で初めて299人以下が1,000人以上上回る

大会ではまた、2017年闘争の経過報告があった。賃金の最終集計では、1,546組合が平均1,229円の賃上げを獲得。規模別にみると、1,000人以上が1,128円、300~999人が1,125円、299人以下が1,292円となり、299人以下の賃上げ額の平均が1,000人以上を164円上回った。JCM本部によると、299人以下が1,000人以上を上回ったのは集計を開始して以来、はじめてだという。

経過報告は2018年闘争に向けて、賃上げについては2017年闘争では賃上げ獲得組合が回答引き出し組合の6割程度にとどまっているとして「賃上げ要求・獲得組合の拡大と底上げ・格差是正に向けた一層の取り組み強化が重要」と強調した。浅沼事務局長は方針討議の答弁のなかで2018闘争に向けて、「今の(賃上げの)流れを止める訳にはいかない」と述べた。