前回大会の運動方針を補強/全労連第54回評議委員会

2017年8月2日 調査部

[労使]

全労連(小田川義和議長、約77.5万人)は7月27、28の両日、都内で第54回評議委員会(大会に次ぐ決議機関)を開催し、2016年の定期大会で決めた向こう2年間の運動方針の補強を決めた。補強方針は、全国一律最低賃金の取り組みを強めるとともに、現在議論されている「働き方改革」への対応、「2020年施行」の改憲スケジュールが検討されていることに対する「憲法闘争の強化」などを柱としている。

「誰もが8時間働けば人間らしい暮らしができる社会」をアピール

補強方針では、かねてから「全国一律最低賃金の実現」を求めて進めている「最低賃金アクションプラン」について、引き続き学習運動や自治体への働きかけ、「ディーセントワーク統一宣伝行動」のアピール活動などに取組む。独自に最低生計費調査を実施し「時給1,400円以上(月給約24万円)が必要」との結果が反響を呼んだ埼玉県労連は、「チラシをつくって配布している。JMITU(日本金属製造情報通信労組)ではこの調査結果を活用して賃金交渉を行っている」と述べるなど、地域や産別の取り組みも紹介された。補強方針ではこのほか、「賃金の下限設定をもった条例の獲得」などの公契約条例促進や「公契約適正化」の取り組みも強化する。

労働時間規制のあり方などをめぐる「働き方改革」の議論に対しては、全労連は「STOP安倍雇用破壊 ディーセントワーク確立に向けた職場からの労働法制闘争方針」を提起した。あいさつした小田川議長は「働き方改革」について「高度プロフェッショナル労働制や裁量労働制の拡大で残業代ゼロの労働者を増やす」、「ひと月の残業時間100時間を法定化して働かせすぎを国が奨励」などと批判。「人件費抑制で生産性向上、企業の収益最大化という企業の要請に応えた働かせ方制度改革に他ならない」と指摘した。

学習運動の展開や今秋の集会開催などで憲法闘争を強化

この他、補強方針は、改憲の日程が議論されていることを背景に、① この秋からの「職場大学習運動」、とくに9~11月にかけての「大学習月間」の展開 ② 安保法制に反対し2015年に結成された「総がかり行動実行委員会」を主体とする集会等の開催 ③ 「改憲反対の集中した行動を配置」「改憲発動等の重要な段階にはストライキでの決起など全国統一行動を配置」などの組織行動――をあげている。また、全労連憲法闘争本部の改変・強化を図る。

小田川議長は、「安倍首相は憲法まで私物化していると、そんな声まで聞いた」と述べ、「憲法遵守義務を負う首相が、自衛隊違憲論を払拭するために9条に自衛隊を明記すると期限を切って発言したことは、かつての自民党政権には見られなかった異常さだ」と指摘した。

組織拡大の「新4カ年計画」を踏まえた取り組み強化

全労連の集計による組織人員(2017年6月末現在)は約104.4万人で、前年から約1.9万人の減少。昨年の大会で決まった「新4カ年計画」については、この1年間の組織拡大分が前年実績を上回ったものの、減少分を含めたトータルでは増勢に転じることができていない。このため、計画1年目では260人余にとどまった組織拡大のための「総がかり推進委員」選任について、2年目の目標として2,000人の同委員の登録を目指し、年内にすべての地方労連で調整会議を実施するなど、取り組みを強化する。

産別では、日本医労連が介護福祉分野などでも組織化を進め、過去のピーク人員から100人超のプラスを実現(7月現在)していることが報告された。また生協労連は71単組、5,000人余りの拡大で「6年ぶりの組織人員の純増が確実になった」と述べた。同労連では拡大分の7割が非正規労働者であるという。

なお、評議委員会では昨年12月に急逝した井上久事務局長の後任について、当面事務局長を置かず、橋口紀塩事務局次長が事務局長代行として任に当たることを確認した。