国民春闘共闘の春闘中間総括/賃上げは加重平均で5,815円(2.06%)

2017年6月23日 調査部

[労使]

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事、小田川義和全労連議長)は6月21日、都内で第2回単産・地方代表者会議を開き、2017年春闘の中間総括を確認した。

加重平均の賃上げ実績、前年を45円(0.04ポイント)上回る

国民春闘共闘の第7回賃上げ集計(5月26日時点)では、登録823組合の6割近い491組合が回答を引き出し、前年同期(16年5月26日時点)の494組合とほぼ同水準となった。うち金額・率回答を引き出した314組合の単純平均(一組合あたりの平均)は5,289円(1.99%)で、金額では前年同期と比べ34円のマイナス、率では0.02ポイントの上昇。組合員一人あたりの加重平均では5,815円(2.06%)となり、前年実績を45円(0.04ポイント)上回る結果となった。

前年との比較が可能な組合の集計結果(単純平均)をみると、金額の比較可能な297組合では賃上げ額が5,330円と前年(5,299円)から1円アップしており、うち65.7%に相当する195組合(前年はおよそ5割)が前年実績以上の賃上げを獲得した。また、率の比較可能な162組合では賃上げ率が1.98%と、前年(1.99%)からわずかに低下している。

今春闘では前年と同じく、月額2万円以上、時間額150円以上の賃上げ要求を掲げていた。春闘共闘委の中間総括は、今回の結果について「産業や企業規模に関わりなく、前年と同程度の回答状況で推移した」としている。ただし、傾向として、「ベースアップ抑制の動き」の一方で、「労働力不足が顕在化するもとで初任給改善や、産業間・規模間格差の是正を意識した引き上げの動きも強まっていた」と指摘した。

ベースアップ獲得組合は少なく「定昇確保」が多数派

春闘共闘委がまとめた第4回進捗状況調査(6月2日現在)によると、定期昇給制度のある回答引出し組合(776組合)のうち、「定昇+ベア」獲得組合は190組合(24.5%)。「定昇確保」は576組合(75.3%)となっている。

中間総括は各産別の状況について、「ベア回答が月例の賃上げ平均に反映するまでには至っていない」(民放労連)、「賃上げ、一時金とも概ね前年並み」(生協労連)、「ほとんどのところがベアゼロ・定昇のみの回答」(金融労連)などの見解を紹介。その中で、「例年を下回る回答状況が続き苦戦を強いられた」(建交労=全日本建設交運一般労働組合)と厳しい状況もみられた一方で、生協労連や医労連から、介護職場について、介護職員の処遇改善加算(17年4月実施分)の適用も含めた賃上げ状況が報告された。

非正規労働者の状況は「前進的な到達点となっている」

非正規労働者の状況については、時間額での引き上げ額の報告があった163件の単純平均額が19.0円となり、前年実績額を0.3円下回った。月額では40件・平均3,476円となっている。産別からは、「正規労働者に比べて、非正規雇用労働者の賃金処遇の改善が進んだ」とする報告が多かった。

最低賃金協定については、8産別62組合の実績が報告された。最低賃金の引き上げ報告の報告(時給ベース)があった16組合の平均は50.0円の引上げで、時間給の現状は54組合の単純平均で905円。また、日給ベースでは13組合で7,063円、月額では18組合で156,650円(ともに単純平均)となっており、中間総括は、今春闘で設定した最低賃金要求の「時間額1,000円・日額8,000円以上・月額17万円以上」に対して「底上げ要求に近づく状況になってきた」と評価している。