総合重工大手、昨年を500円下回る1,000円の賃金改善で決着/基幹労連の回答状況

2017年3月17日 調査部

[労使]

基幹労連(工藤智司委員長、約26万人)に加盟する総合重工大手組合の賃上げ交渉は、昨年の回答を500円下回る1,000円の賃金改善で決着した。非鉄大手では、三菱マテリアル、三井金属、DOWAの労働組合は賃金改善を獲得したものの、住友金属鉱山、JX金属では、組合側が賃金改善を引き出すことができなかった。

三菱重工、川崎重工、IHI、住友重機、三井造船、キャタピラージャパン、日立造船の総合重工大手の各組合は、昨年要求と同額の4,000円の賃金改善(組合員平均)を求め、各組合とも、1,000円の賃金改善で決着。昨年を下回る獲得となったが、いずれの組合も賃金改善に加えて「別途、課題解決に向けた原資投入」を会社側に確約させた。多くが、働き方改革に資する方策に原資を投入することになるとみられる。

一時金については、三菱重工が「年間62万円+4カ月」(昨年実績:年間64万円+4カ月)4カ月)で満額獲得となった。IHIは要求より0.6カ月少ない4.8カ月(同:年間4.5カ月+グループ経営方針2016協力金5万円)、住友重機は要求より0.3カ月少ない5.3カ月(同:5.3カ月)、三井造船は要求を0.8カ月下回る4.7カ月(同:4.7カ月)、日立造船は要求を23万円下回る「17万円+4カ月」(同:15万円+4カ月)で決着した。なお、川崎重工は業績連動方式を採用しているため、交渉していない。また、キャタピラージャパンは一時金に相当する額を季節手当などに織り込み済みなので交渉していない。

非鉄大手は賃金改善分ゼロ回答の組合も

非鉄大手では、三菱マテリアル、住友金属鉱山、DOWAの労働組合が4,000円の賃金改善を求め、三井金属の労組は1,000円の賃金改善を要求した。JX金属の労組は、会社業績が思わしくないことから、昨年に続き、賃金改善の要求を断念している。

結果をみると、三菱マテリアルは800円、三井金属とDOWAは1,000円の賃金改善で折り合ったが、住友金属鉱山の組合は賃金改善を会社側から引き出すことができなかった。

一時金をみると、住友金属鉱山と三井金属が交渉方式を採用しており(それ以外は業績連動方式)、住友金属鉱山が「年間162万円+特別一時金1万円」(昨年実績:162万円)、三井金属が163万円(同:153万円)となった。

工藤委員長は15日の金属労協本部での会見で、「一部の組合では、労使それぞれの思いにかい離があったが、多くの組合で1,000円の賃金改善を引き出すことができたのは、懸命に交渉を追い上げ、回答を引き出した各組合の努力の結果」と評価した。