本田とスズキが前年を上回る賃上げ/自動車大手の回答状況

2017年3月17日 調査部

[労使]

大手自動車メーカーの各労働組合は16日、今年の賃上げ回答を経営側から受け取った。自動車総連(相原康伸会長、約77万人)の拡大戦術会議登録組合を構成するメーカー11組合が受けた回答内容は、本田技研とスズキが昨年を上回る賃上げ額となり、トヨタ、日産など7組合では昨年を下回った。

メーカー11組合に対する賃上げ回答(平均賃上げ)をみると、トヨタは賃金本体での引き上げ額は1,300円と昨年獲得実績の1,500円を下回ったが、家族手当を充実させる原資として1,100円を合わせて獲得した(自動車総連が発表する回答表示額では、制度維持分7,300円に、これらの合計額を足し合わせた「9,700円」となっている)。

昨年要求に対する満額回答(3,000円)を獲得した日産は、前年実績を1,500円下回る「平均賃金改定原資7,500円」で決着した。本田技研は、昨年実績(1,100円)かつ、トヨタの引き上げ額を上回る1,600円を獲得した。

昨年実績と同額で決着したのはダイハツとヤマハ発動機。ダイハツは賃金改善分1,500円、ヤマハ発動機も1,500円の回答をうけた。

一時金はメーカー11組合のうち7組合が満額回答

一時金をみると、メーカー11組合のうち、7組合が要求に対して満額を獲得した。満額回答となった組合は、トヨタ(230万円〈6.3カ月〉)、日産(230万100円〈6.0カ月〉)、本田技研(5.9カ月〈223万2,000円〉)、ダイハツ(5.5カ月)、富士重工(6.2カ月)、日野(5.7カ月〈154万1,600円〉、ヤマハ発動機(5.8カ月)。

非正規労働者の取り組みでも、ほとんどのメーカー組合が、基幹従業員や定年退職後の再雇用者の賃上げなどを獲得した。

相原会長は15日の金属労協本部での会見で、「先行き不透明な内外の経済状況、見通しにくい経営環境、熾烈な競争環境のなかで行われた協議・交渉だったが、全体として賃金の引き上げについては最大限の回答を導き出すことができた」とメーカー組合の回答状況を評価した。

また、同日、総連本部で行われた会見では、「賃金に社会性があるということと、賃上げが経済にインパクトのある要素であるという点での労使の共通認識が深まり、かつ定着しつつあることは今回の協議・交渉の成果だ」と述べた。

2017年総合生活改善の取り組み 【拡大戦術会議登録組合(12組合)】