集中回答日までの回答引き出しを評価、後続への波及を重視/金属労協、連合の会見

2017年3月17日 調査部

[労使]

「賃金の底上げ、格差是正の流れを一定程度維持」(相原議長)/金属労協

金属労協(JCM、相原康伸議長、約201万人)に加盟する主要労組に15日、一斉に2017闘争に対する回答が経営側から示された。会見で相原議長は「賃金の底上げ、格差是正の流れを一定程度、維持することができた」などと評価した。

定昇相当除く賃上げ平均は1,051円で前年比373円ダウン(16日現在)

翌16日午前11時現在の回答集計によると、集中回答日までに回答を引き出して相場をリードする役割を担う「集計対象組合」のうち、今季は49組合が賃上げ要求を行っており、すべての組合が回答を引き出している。うち、賃上げを獲得したのは43組合で、獲得した賃上げ額の平均は1,051円。前年の獲得額と比べると、373円の減少となっている。

一時金は、集計対象である54組合のうち、35組合が交渉方式をとっている。34組合が回答を引き出しており、回答の平均月数は5.15カ月。前年と比べると、0.08カ月減と若干のマイナスとなった。企業内最低賃金協定の取り組みでは、35組合が要求を行い、19組合が水準引き上げを獲得。平均引き上げ額は1,141円となっている。

15日昼に金属労協本部で会見した相原議長は、同時点の回答結果について、「全体として、4年連続で賃金改善を確保できた。賃金の底上げ、格差是正の流れを一定程度、維持することができた。前向きに評価したい」などと述べた。

15日11時から開催された第6回戦術委員会で金属労協は、「本日示された回答は、われわれの要求をすべて満たすものとはいえないものの、JC共闘として連携をとりながら、各組合がギリギリの交渉を行った結果、賃上げ回答を引き出し、4年連続となる『継続的な賃上げ』を実現することができた。企業内最低賃金協定についても、賃上げ額とほぼ同水準の引き上げを獲得している。これらの回答は、今次闘争の『基本的考え方』からみて、一定の前進を図ることができたものと考える」などとする確認事項をまとめた。

「すべての働く者の賃金引き上げに確実な波及を」/連合

一方、連合(神津里季生会長)は15日、金属大手を中心とする回答引き出しを受けて記者会見を開いた。集中回答日には、金属大手などが4年連続でベア・賃金改善などの賃上げ分を獲得したほか、UAゼンセン、情報労連、航空連合、フード連合などの傘下の組合も回答を引き出した。なかには、非正規関連の回答も示された組合も見られる。

こうした状況について神津会長は、「水準は様々あるが、ベースアップも含め、月例賃金の引き上げを持続させていることについては、先行グループとして今年も回答引き出しにつなげている」と評価した。

そのうえで、集中回答日の回答状況の特徴として、若手・子育て世代への財源投入や働き方改革の労使共同宣言のとりまとめ、福利厚生面の充実等の回答が出ていることにも触れ、「労使関係での取り組みの毎年の積み重ねのなかで、労働条件・制度の何が問題でどこを改善していけば良いかという交渉が成熟しているところは、様々な形での財源投入を引き出しているところが例年になく多い」などと指摘。「後に続くところは、上辺(の引き上げ額)だけで判断するのではなく、全体像をしっかり見据えながら底上げに対応していかねばならない」と述べた。

また、連合は同日、集中回答日の結果を受けて、「すべての働く者の処遇の『底上げ・底支え』『格差是正』の実現をめざし、本日までに示された回答内容を、続く中堅・中小組合はもとより、未組織を含めたすべての働く者の賃金引き上げに確実に波及させなければならない」などとする神津中央闘争委員長名の「2017春季生活闘争アピール」を公表した。