金属労協の集計登録組合、賃上げ要求の平均額3,771円

2017年2月24日 調査部

[労使]

金属関連の5産別でつくる金属労協(JCM、相原康伸議長)は23日、賃上げ交渉に向けた主要労組の要求提出状況を公表した。要求提出を終えた46組合の賃上げ要求額(賃金構造維持分・定期昇給分を除く)の平均をみると3,771円で、ほぼ昨年並みの要求額となっている。

46組合が賃金に関する要求提出済み

金属労協では、加盟する自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5産別それぞれが、集中回答日までに回答を引き出し、相場形成役となる大手を中心とした単組を「集計対象組合」として登録している。金属労協が23日に公表した集計対象組合の要求状況によると、登録の53組合のうち、46組合で賃金に関する要求提出を終えている。46組合すべてがベースアップや賃金改善などの賃上げ要求をしており、要求額(賃金構造維持分・定期昇給分を除く)の平均は3,771円となっている。なお、金属労協の2017闘争の賃上げ要求基準は3,000円以上の賃上げ。

46組合のうち、昨年と比較できる同一組合(44組合)で比較すると、要求額の平均は3,829円で昨年比2円増となることから、金属労協の浅沼弘一事務局長は「要求額は昨年とほぼ同水準」と23日の会見のなかでコメントした。

一時金は、34組合が要求・回答方式で、15組合が業績連動方式となっている。企業内最低賃金協定の取り組みでは、現行で52組合が協定締結しているが、35組合が何らかの引き上げ要求を行っている。

5産別のトップが記者会見で要求状況を報告

23日に本部(都内)で行われた会見では、5産別のトップが揃い、要求状況を報告した。相原康伸・金属労協議長/自動車総連会長は、自動車総連加盟労組の交渉状況について、「個人消費の活性化に向けて労使それぞれが責任を果たさなくてはならないという点では理解は進みつつある」などと説明。要求状況については、約1,100組合のうち、53.2%にあたる組合が賃金改善分の要求を終え、要求額の平均は3,253円と昨年の最終平均額(3,198円)を上回っており、かつ、300人未満の要求額平均は3,293円(昨年3,253円)と全体の平均額を上回っていると報告した。

電機連合の野中孝泰委員長は、大手で構成する中央闘争組合13組合のうち、統一闘争を離脱した東芝労組とシャープ労組を除く11組合すべてが要求提出したとし、拡大中闘組合では23組合中17組合が、地闘組合では133組合中7組合が要求提出を終えたと報告した。また、20日に開催された電機連合本部と大手メーカー労務担当役員との産別労使交渉では、経営側から、3年連続でベアが積み上がったことと、将来的な不透明感が増していることなどから賃上げに対して慎重な姿勢が示されたと話した。

中小労組を多く抱えるJAMの宮本礼一会長は、闘争参加組合1,550組織のうち、599組合が要求提出を終えており、100人未満の組合の平均要求額は昨年よりも50円高くなっていると報告。中小における「相当な人手不足感の高まり」が要求額にも表れているとした。

基幹労連の工藤智司委員長は、闘争に参加する301組合のうち、77組合が要求提出を終え、58組合が賃金改善要求を行ったと報告した。経営側からは、経済の不透明感や為替、市場の動向が想定以上に厳しく、将来的なコスト増につながる賃上げについては慎重な検討が必要だとの主張が展開されていると述べた。

全電線の岩本潮委員長は、21日に産別統一要求提出日に34組合すべてが要求提出し、すべての組合が3,000円(個別賃金要求)の賃金改善を要求したと報告。一時金の平均要求月数は4.74カ月で(昨年比0.06カ月増)、年間休日125日への到達も求めていると説明した。