有期、60歳超雇用者、正社員とも4,000円の改善/NTT労組の賃上げ要求

2017年2月17日 調査部

[労使]

NTT東西やドコモ、データなど、NTTグループ企業の約270労組で構成するNTT労働組合(野田三七生委員長、約17万人)は15日に都内で中央委員会を開き、① 有期雇用者 ② 60歳超え雇用者 ③ 正社員等の月例賃金――について横並びで昨年と同じ4,000円(平均)の改善を求める今春闘の要求方針を決定した。冒頭のあいさつで野田委員長はNTTグループの業績が堅調に推移していることを受け、「情報労連の中核組合としての役割を果たす」ことがメインテーマであると述べた。

有期雇用者を前面に、一時金の制度化も目指す

方針の基本的考え方として、「底上げ・底支え」を意識し、「NTT労組に結集するすべての働く仲間の賃金をはじめとする諸制度をトータルに捉え、労働条件改善に取り組む」と主張。そのうえで、要求の考え方として、月例賃金については、① 有期雇用者の「底上げ」を含む組合員の生活向上 ② NTTグループ事業の成長・発展に寄与している組合員の努力と成果 ③ 今後の事業戦略に対応していくための「人材への投資」――等を総合的に勘案して、2%程度の改善を求めることを基本的な考え方とする。

具体的な要求では、NTTグループ各社に対して、「① 有期雇用者 ② 60歳超え雇用者 ③ 正社員――等について、4,000円(平均)の改善を要求」としている。昨年に引き続き有期雇用者の処遇改善を前面に打ち出した。そのうえで、NTT労組中央本部は主要8社に対して、正社員の基準内賃金および成果手当の改善を求める。昨年は4,000円の要求に対して正社員の月例賃金平均1,600円(基準内賃金700円、成果手当900円)、60歳超の継続雇用の月給制社員1,100円、リーダー的な契約社員の職責手当1,100円の賃金改善で妥結している。

一時金については、昨年獲得した実績を基本に業績堅調な会社は上積みをめざす。また、有期雇用者の一時金については、本部が要求化を図り、各社における制度化をめざす。

食事補助を廃止し有期社員も含めた新たな手当創設――福利厚生をトータルで見直しへ

福利厚生制度については、長期勤続者を前提としたカフェテリア制度を2002年に導入しているが、労使は今春闘を期に、短期および中長期的な視点からメニュー全体の見直しに入る。組合からの福利厚生制度のあり方の見直し提起を受け、持ち株会社は昨年12月に、① 社員等の食事補助制度を廃止する ② あわせて食事補助相当を意識した(仕事と生活の両面からサポートすることを目的とした)サポート手当(仮称)を創設する ③ さらなるモチベーション向上の観点から、同様の新たな手当を有期契約社員等を含む雇用形態のフルタイム勤務に創設する――ことを提案。また、今後の中長期的な取り組みとして、「社会環境の変化や社員ニーズの多様化等を踏まえて、福利厚生メニューの見直しを含め検討していく」との見解も示された。

これを受けNTT労組は「社員と同水準および対象者の拡大をめざす」(平田雅則事務局長)を基本に交渉を強化するとしている。