統一要求は前年同額のベア5,600円/私鉄総連が春闘方針決定

2017年2月3日 調査部

[労使]

大手私鉄やバスなど約230の労働組合が加盟する私鉄総連(藤井一也委員長、11万5,000人)は2日、都内で第2回拡大中央委員会を開催し、2017年の春季生活闘争方針を決定した。賃上げの統一要求として、月額基本給1人平均2.0%(定期昇給相当分)プラス5,600円(ベースアップ分)の引き上げを求める。

要員不足の原因は長時間労働と低賃金/田野辺委員長

あいさつした田野辺委員長は、「交通産業では、長年要員不足が大きな課題だ。長時間労働と他産業に比べ低い賃金がその原因となっていることは間違いない」と述べ、労働条件の向上を訴えた。

春闘方針では、賃金要求に加え「交通政策要求に関する産業別統一行動」の項を設け、その中で要員不足問題について「地方・中小私鉄、バス、ハイヤー・タクシーでは、それぞれ深刻な要員不足となっている。このことがさらに長時間労働を助長し、離職者の増加にもつながっている」と指摘。2月1日には「交通政策要求実現中央行動」を実施し、国土交通省に対し要請を行った。今後も自治体や地方運輸局・支局などに対する要請行動を予定している。

定昇相当分2.0%の引上げを軸にベア分5,600円を要求

賃金の産業別統一要求をみると、定期昇給相当分(賃金カーブ維持分)については各組合の平均基本給の2.0%となるよう交渉する。そのうえで、賃金制度が確立し定昇相当分について労使で確認している組合はベア分(生活維持分+生活回復・向上分)として5,600円を要求、賃金制度がなく定期昇給分の推計ができない組合は、各組合の平均基本給2.0%プラスベア分5,600円を要求する。ベア分の要求額は前年と同額。

年間臨時給(一時金)については、「賃金の後払い」的な性質を持つことおよび生活防衛の観点から、2016年度の協定月数を堅持するとともに、年間5カ月に満たない組合については5カ月を要求することを基本とし、最低でも3カ月分の達成をめざす。また、協定は夏冬別途ではなく年間協定を結ぶよう求める。

方針では、賃上げ要求に付随するポイント賃金・引き上げ基準を設定。「最低引き上げ額基準(高卒19歳・勤続1年)」として9,100円、「高卒18歳初任基本給」として15万5,400円、「バス運転士25歳初任基本給」として17万2,500円を設けた。

このほか、ハイヤー・タクシーの専業組合の統一方針では、前年同様、歩合給中心の賃金体系から、基本給もしくは固定的手当の充実をめざす。基本給について「定昇相当分2.0%とベア分5,600円」の引き上げを要求。出来高制賃金組合は、「固定給中心の安定型賃金の再確立」をめざし、この要求を「固定的賃金の新設・拡充の原資として要求する」としている。年間臨時給は、年間5カ月分を基本目標とする

なお、契約社員やパートなど非正規労働者の時間給については、「60円以上の引上げ」を基本とし、「誰もが時給1,000円」の実現をめざして取組む。

ヤマ場の戦術日程は2月27日に決定

日程としては、賃金・臨時給および産別最賃の要求を2月8日に提出し、交渉を開始。ストライキ権確立のため、同月15日から3月3日正午までに各組合が投票を行って結果を集約する。闘争のヤマ場については、交渉の経緯などを踏まえて、2月27日に予定している中央闘争委員会で戦術日程を決定する。