賃金改善分として前年同額の3,000円以上の要求案を確認/自動車総連

2016年12月21日 調査部

[労使]

トヨタ、日産、ホンダなどの大手自動車メーカーの労働組合も加盟する自動車総連(相原康伸会長、77万人)は16日、都内にある本部で中央執行委員会を開催し、2017年春季労使交渉に臨む方針案を確認した。賃金引き上げ要求については2016年交渉の方針と同様、3,000円以上(組合員平均)の賃金改善分を設定するとした。方針案は来年1月に開かれる中央委員会で最終決定する。

「強い意志で賃金格差・体系是正と生産性向上への成果配分を」(相原会長)

中央執行委員会の終了後、相原会長が会見し、方針案の概要を明らかにした。現在の世界経済と日本経済全体に関する認識について、「世界経済については不確実性が高まっている。日本経済については踏ん張りどころにあると認識している」との見方を示したうえで、「ここ数年、全体的に賃上げの流れをつくり出すことができ、一定程度の前進を図ることができた。一方、働く者の将来不安を払拭し、社会・経済が自律的に成長する歩みを止めていいのかというと、止めてはならないと認識している」と強調。社会保障、不安定雇用の拡大など日本の構造的課題への対応についても、「これ以上先送りすることは許されない」と述べた。

2017年の取り組みにあたっては、「働く者の将来不安の払拭と、日本経済の自律的成長に向け、その道筋を示せるかどうか、たいへん重要な取り組みであり、真価が問われる」とし、方針案の内容について、「すべての単組は求める経済・社会の実現、現下の産業情勢を踏まえ、強い意志をもって賃金格差・体系是正と生産性向上に対する成果配分を求めるべきであり、3,000円以上の賃金改善分を設定する」と考えを明かした。直接雇用の非正規労働者については、2016年方針と同様、「原則として賃金改善分を設定する」ことにし、改善分は3,000円を時給換算した20円の引き上げで設定したいと述べた。

相原会長はまた、自動車産業全体で生み出した付加価値を企業規模の大小に関わらず産業全体に循環させることを狙いとする「付加価値のWIN-WIN最適循環運動」について、「2年目の運動として力強く取り組みたい」と語った。