賃上げ要求水準は16闘争と同じ2%程度を基準に/連合2017春季生活闘争基本構想

(2016年10月21日調査・解析部)

[労使]

連合(神津里季生会長)は20日、中央執行委員会を開き、2017春季生活闘争に向けた基本構想を確認した。2016闘争で掲げた「大手追従・準拠からの脱却」「サプライチェーン全体の付加価値配分」の流れを継続・定着させるとし、賃上げ要求水準については2016闘争と同様に「2%程度を基準」(定昇相当含め4%程度)としている。

最重点課題は「底上げ・底支え」「格差是正」

基本構想は春季生活闘争方針のたたき台となるもの。10月31日~11月1日に開かれる2017春季生活闘争中央討論集会で加盟組織との討議を行い、来月の中央執行委員会で闘争方針案を示した後、同月25日に開催される中央委員会で方針を最終決定する。

基本構想は、「引き続き『所得の向上による消費拡大を通じた経済の好循環実現』を進めていかなければならない」と強調。2016闘争と同様に「底上げ・底支え」「格差是正」の取り組みを重点課題に据え、「2016春季生活闘争で掲げた『大手追従・準拠からの脱却』『サプライチェーン全体の付加価値配分』の流れを継続・定着させる取り組みを進めていく」ことを前面に打ち出した。

到達目標の実現にこだわる

来季も月例賃金の引き上げにこだわる姿勢を鮮明にしている。基本構想は、「月例賃金にこだわる闘争を進めたことにより、3年連続して賃金の引き上げを獲得したものの、要求の趣旨からすると十分な水準に至っていない。また、格差の是正も不十分である」と振り返りながら、「2017春季生活闘争においても、月例賃金の引き上げの流れを継続させると共に、中小企業労働者や非正規労働者の月例賃金・時給の『底上げ・底支え』と『格差是正』をはかることに重点を置いた取り組みを進める」と強調。「あらゆる手段を用いて『底上げ・底支え』『格差是正』に構成組織が一丸となって取り組みを進める」と来季闘争への意気込みを示した。

賃上げについては、「賃上げ幅ではなく賃金の絶対値にこだわる」(須田孝・連合総合労働局長)姿勢を昨年以上に強く打ち出すため、「名目賃金の到達目標の実現や、ミニマム基準の確保に取り組む」とあえて明記したうえで、賃上げ要求水準について「それぞれの産業全体の『底上げ・底支え』『格差是正』に寄与する取り組みを強化する観点から、2%程度を基準とし、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め4%程度とする」とした。2%程度を基準とする内容は2016闘争と同じ要求内容だ。

中小も前回と同じ1万500円を求める

一方、中小共闘の賃金引き上げ要求の目安は、2016闘争と同様、1万500円(賃金カーブ維持相当分4,500円)とし、非正規共闘も前回と変わらず、「誰もが時給1,000円」の実現をめざしつつ、時給引き上げの目安を37円とするとしている。

神津会長は同日の会見で「消費マインドが冷えたままだからこそ、3年続いてきたベアの流れをより強めていかなければならない」「賃上げを止めれば本格的なデフレに逆戻りしかねない」などと述べ、4年連続での賃上げの必要性を強く訴えた。