「社会的労働運動のパイオニアとして運動を進める」/全国ユニオン定期大会

(2016年8月24日調査・解析部)

[労使]

「誰でも一人でも加入できる」個人加盟の地域ユニオンの全国組織である全国コミュニティ・ユニオン連合会(全国ユニオン、3,500人)は8月20日、東京・駿河台で第15回定期大会を開き、新活動方針を決めた。新方針は、① 社会的労働運動の展開 ② 集団的労使関係の確立 ③ 5,000人組織をめざす組織拡大 ④ 地域ユニオン結集にむけたコミュニティ・ユニオン全国ネットワークなどとの連帯構築――などを柱としている。

「労働組合の枠を超えた運動を展開」(鈴木会長)

あいさつした鈴木剛会長は、労働者を取り巻く社会情勢に触れ、「安倍政権の政策も含め、世界的に進められている新自由主義によって、移民に対する差別など社会の分裂が激しくなっている。自己責任がとなえられ、富める者にどんどん活力を与え、企業だけが活動しやすい社会がつくられてきた」と批判、「これに対抗するのが私たちのミッションだ。相互扶助・連帯、弱い立場の人たちがいきいきと安心して働ける社会の実現を目指す」と強調した。一方、「新自由主義によって社会が分裂している中でも、世界的に地域の絆を結びなおして連帯する新しい動きが出てきている」ことも指摘。「全国ユニオンは昨年、従来は別々の領域で活動していた仕事起しなどに取り組むワーカーズコープの『いたみワーカーズコープ』を仲間に迎えた。社会を変えるために、私たち全国ユニオンは、労働組合の枠を超え、この社会的労働運動のパイオニアとして確信を持って運動を進めていく」と述べ、労働組合の枠を超えた運動の展開を訴えた。

組織拡大は5,000人組織を目標に

「社会的労働運動の展開」については、労働組合の従来の活動領域ではカバーできない部分も含め、地域で働く人たちの雇用や社会保障などの課題を包括的に解決する運動を提起。仕事起しや生活困窮者自立支援を実践している「いたみワーカーズコープ」の取り組みに学び、各地のユニオンで運動を具体化する考えだ。

「集団労使関係の確立」では、従来の労働相談ベースによる個人加盟を一歩進め、組合員の職場での組織拡大による集団的な労使関係の構築を目指す。点だけでなく面の組織化を強化することで、組織拡大を進める方針で、5,000人組織を目標としている。

全国組織としての機能強化も方針に盛り込まれており、組織コミュニケーションを密にして、地方組織の意向の把握とともに中央からの情報発信を強化するとしている。また、社会的労働運動の広範囲な勢力結集を目指し、全国ユニオン未加盟の地域ユニオンの多くが参加するネットワーク組織である「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」(ユニオン全国ネット、公称約2万人)との連携や情報共有を図る考えだ。

方針にはそのほか、均等待遇の実現や派遣労働者の権利向上、労働規制緩和反対、名ばかり事業主の撲滅、フリーシフト撲滅、リビングウェイジ制定運動の推進――などディーセントワーク実現のための取り組みが盛り込まれている。