新委員長に書記長の田野辺氏を選出/私鉄総連定期大会

(2016年8月10日調査・解析部)

[労使]

私鉄総連(藤井一也委員長、11万5,000人)は3、4の両日、福島県郡山市で定期大会を開き、2016年度の運動方針を確認した。役員改選では、藤井一也委員長が退任し、後任に田野辺耕一書記長を選出。新書記長には木村敬一執行委員が就任した。

3年連続の賃上げ実現を評価

運動方針では、16年春闘について、「実質的に3年連続の賃上げを実現したこと」を評価。ストライキ設定については「6本のストライキ決行指令(17組合)を発した。スト突入前に一定の回答もしくは交渉の前進を引き出したことから、突入した組合はなかった」とし、スト権確立投票の重要性を指摘している。

3月22日の回答日までの状況については「15春闘よりも早い回答引き出しとなった」とし、「各組合が、これまで以上に『回答を引き出すための交渉重視』を徹底し、早期決着を目指し、積極的に交渉を展開した結果といえる」と評価している。また、産業別最低賃金の中央統一交渉については、①各都道府県の2015年度地域別最低賃金額に173.8時間を乗じた月額とする②最低水準13万1,200円は据え置く――ことを、経営側の日本民営鉄道協会、バス事業最賃問題研究会と確認したことを報告している。

17年春闘に向けては、「賃金・人事制度の確立」をあげ、「昇給ルールがない組合は、年間を通じて、賃金・人事制度や定期昇給制度の確立に向けた取組みを進める」としている。

賃上げ要求策定にあたっては、「定昇相当分(賃金カーブ維持分)」プラス「ベア分」による統一要求にするとしたうえで、さらに「将来的には個別賃金方式(同一年齢ポイントの純ベアを要求するA方式)で要求することができるよう、検討を進める」と述べている。

通年で「賃金制度確立」に取組む

賃金制度確立については、大会に先立って決定された今秋の16年秋闘方針においても課題として取り上げており、「通年的な取組みとして、労使協議などを重ね確実に制度の確立を目指し取り組みを継続する」としている。秋闘ではこのほか、安全保障関連法の施行を受け、「有事の際に国民保護法と合せ、武力攻撃事態法による『指定公共機関』との関係で、2004年の指定以降、私鉄総連が取組んできた内容を『秋闘推進の手引き』に記載し、啓発活動を行う」と述べている。

役員には、委員長に田野辺耕一氏(東武)、書記長に木村敬一氏(南海)が新たに選出された。副委員長には清水昭男氏(名鉄)が再選された。