定昇含む賃上げ6,077 円(2.06%)/連合の臨時回答集計
(2016年4月15日 調査・解析部)
連合(神津里季生会長)は14日、2016春季生活闘争の臨時回答集計(12日午前10時時点)をまとめた。定期昇給相当分を含む回答水準は、額で6,077円、率では2.06%。このうち、300人未満の組合をみると、賃上げ額は4,715円、率は1.91%となっている。業種別では、商業流通や交通運輸の300人未満の組合が、額、率ともに前年水準を上回っている。
今回の集計は、連合が今春闘で掲げた「持続性」「月例賃金」「広がり」「底上げ」の4つのキーワードを実現すべく、4月末決着への相場形成を図るため、12日午前10時時点で臨時に実施したもの。第3回(3月30日)以降、新たに860組合が回答を引き出し、計2,672組合、218万2,185人の回答について平均賃金方式(組合員数による加重平均)をまとめている。
定昇相当分を含まない賃上げは1,331円(0.44%)
集計結果を見ると、昨年同時期(4月14日)に比べ、回答数は85組合増加。回答水準は、額で6,077円、率で2.06%となり、金額で593円、率で0.18ポイントそれぞれ下回っている。
このうち、ベースアップや賃金改善などの形で回答があり、賃上げ分が明確に分かる組合(1,359組合、146万4,265人)の集計では、回答水準は6,622円(2.20%)となり、うち定昇相当分を含まない賃上げ分は1,331円(0.44%)となる。
さらに賃上げ分が明確な組合のうち、前年と同一の組合(1,138組合、134万3,528人)との比較で見ると、回答水準は6,242円(2.07%)で、内訳は定昇相当分5,227円(1.74%)、賃上げ分は1,015円(0.34%)となる。前年実績に比べ818 円(0.28 ポイント)下回っている。
大手と中小の賃上げ率の乖離が改善傾向に
賃上げ集計を規模別に見ると、300人以上(965組合、200万8,846人)が6,206円(2.07%)で、前年同期比632円(0.19ポイント)減、300人未満(1,707組合、17万3,339人)が4,715 円(1.91%)で、同213円(0.10ポイント)減となっている。ともに前年を下回っているが、マイナス幅は300人未満の方が小さく、大手と中小の賃上げ率の乖離が改善傾向にあることがわかる。
また、300人未満の組合の回答を業種別に見ても、商業流通(前年対比366円、0.25ポイント増)と交通運輸(同236円、0.30ポイント増)で、額、率ともに前年水準を上回っており、内需関連の産業を中心に、中小の賃上げ獲得が続いている状況がうかがえる。
この結果について神津会長は、「連合として『底上げ春闘』を主張し旗振りして、それぞれの組織が成果を形にして引き出している。足下の集計状況でも、昨年までに比べ賃上げ獲得組織は着実に増えており、具体的な底上げでは、全体集計と中小300人未満の賃上げ率の推移も、これまでにない傾向を実現している」などと評価した。その一方で、現時点で依然、約半数の組合が交渉を続けている状況などを踏まえ、「ここから先こそが非常に大事。すべての働く者にとっての春闘を、最後の最後までしっかりと形に表していきたい」と強調した。