安倍首相にG7伊勢志摩サミットへの反映を要請/連合らG7労働組合代表

(2016年4月8日 調査・解析部)

[労使]

連合(神津里季生会長)など先進7カ国(G7)労働組合指導者会議の代表は7日、首相官邸で安倍晋三首相と会談し、不平等の是正やディーセント・ワークの創出などの課題が、5月に開かれるG7首脳会議(伊勢志摩サミット)の議論で取り上げられ、各国での政策に反映されるよう、要請した。

不平等の是正やディーセント・ワークの実現を

要請内容は7日、G7伊勢志摩サミットに向けた国際労働運動としての提言を協議するG7労働組合指導者会議(レーバーサミット)でとりまとめられたもの。提言は、「世界の貿易、新興市場、金融・通貨市場での混乱により成長と回復が停滞するリスクが高まるなか、G7諸国では不平等の拡大が続き、デフレ不安に見舞われており、実質的債務負担の増加といった深刻な事態が予測される」などと指摘。そのうえで、「G7首脳に対し、雇用と成長に向けた短期的課題に取り組みつつ、長期的には包摂的成長と持続可能な開発に向けた目標を達成するために重要な政策措置を求める」として、① 不平等の是正 ② 雇用とディーセント・ワークの創出 ③ ジェンダー平等 ④ 環境の持続可能性と気候変動対策――の4点について言及している。

神津会長は同日の記者会見で「具体的な政策提言について、サミットで議論して最終文書に反映させてもらいたい。肝心なことは各国の反映なので、それも含めて要請した。本日の要請内容を踏まえながら、各国首脳と率直に議論をしてリーダーシップを発揮して欲しい」などと述べ、安倍首相に対し、前向きな対応を求めた。

先進国首脳会議(サミット)に対しては、1977年以来、労働組合の主張を反映させることを目的とするレーバーサミットが開かれている。サミットの前にG7各国の労働組合代表や、国際労働組合総連合(ITUC)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)などの国際労働組合組織代表が開催国に集まり、議長(ホスト国の大統領または首相)への要請・協議を実施しており、今回は連合がホスト組織となっている。