鉄鋼は2年分で2,500円、造船重機は1,500円の賃金改善/基幹労連傘下の総合大手組合

(2016年3月18日 調査・解析部)

[労使]

基幹労連(工藤智司委員長、約26万人)に加盟する大手労組の賃上げ交渉は、鉄鋼では2年分で2,500円の賃金改善、造船重機は2016年度で1,500円の賃金改善の回答を会社側から受け取った。非鉄では、三菱マテリアルが2016年度については1,000円の賃金改善を獲得したものの、DOWAは同分についてはゼロ回答となった。

新日鐵住金、JFEスチール、神戸製鋼所、日新製鋼の鉄鋼大手メーカー4社の労働組合は、2016年度、2017年度それぞれ4,000円の賃金改善(35歳標準労働者の平均引き上げ額)を要求していた。それに対し、各社の経営側は「2016年度1,500円、2017年度1,000円」の賃金改善を組合に回答した。

三菱重工、川崎重工、IHI、住友重機、三井造船、キャタピラージャパン、日立造船の造船重機大手の各組合は、2016年度の単年度要求で4,000円の賃金改善(組合員平均)を求めていたが、各社の経営側は1,500円の賃金改善を回答した。

年収管理方式をとる三井金属以外の非鉄大手では、三菱マテリアルとDOWAでは組合側が2016年度、2017年度それぞれ4,000円の賃金改善を要求し、2016年度についてのみ交渉を行っていた。最終的に、三菱マテリアルは1,000円の賃金改善の回答をうけ、DOWAはゼロ回答となった。

非鉄産業では金属価格が下落しており、各社とも厳しい経営状況が続いている。住友金属鉱山は3月期の連結決算において、経常利益赤字の見通し。JX金属も同決算において経常利益、当期純利益ともに赤字を見込んでおり、両社の労組は今春闘で賃上げ要求を断念した。

「リーマン・ショック時と変わらないくらい厳しい交渉だった」(工藤委員長)

一時金では、鉄鋼大手では4社すべて業績連動方式となっている。造船重機大手の回答は、三菱重工が「年間64万円+4カ月」(要求は「65万円+4カ月」)、川崎重工は業績連動方式、IHIは「年間4.5カ月+グループ経営方針2016協力金5万円」(同5.6カ月)、住友重機は5.3カ月(同5.6カ月)、三井造船は4.7カ月(同5.3カ月)など。非鉄は住友金属鉱山のみが交渉方式で、年間162万円(同170円)で決着した。

工藤委員長は「要求からは十分とはいえないが、人への投資の必要性を組合側が粘り強く主張し、それに対して経営側が一定の理解を示した回答だ」とコメント。「リーマン・ショック時と変わらないくらい厳しい交渉だった」と振り返った。