金属・機械大手組合、多くで1,000円超えの賃金改善/JAMの賃上げ回答状況
(2016年3月18日 調査・解析部)
金属・機械関連の中小労組を多く抱える産別労組のJAM(宮本礼一会長、約36万人)に加盟する大手組合では、16日までに島津、シチズン、日本精工、クボタ労連、コマツなどで回答を引き出した。おおむね1,000円を超える賃金改善分を獲得している。
JAMでは、今年は大手で交渉のリード役となる12単組をAグループと位置付け、金属労協の集中回答日である3月16日までの回答引き出しに取り組んだ。
各組合の賃金の回答状況をみていくと、オークマが平均方式で賃金改善分1,544円(同分の要求額は6,000円)、島津が1,000円(同7,821円)、アズビルが2,314円の満額回答、横河電機が30歳賃金改善分で2,000円の満額回答、ジーエス・ユアサが35歳賃金改善で1,400円(同ポイントの要求額で6,600円)、NTNは30歳賃金改善で1,400円(同ポイントの要求額で6,000円)、日本精工が35歳賃金改善1,400円(同ポイントの要求額で3,000円)クボタ労連は「定期月俸改定額(約7,150円)+賃金改善1,150円」(要求は「定期月俸改定額(約6,900円)+賃金改善6,000円」、コマツが賃金改善分1,400円(同分の要求額は6,000円)、ヤンマーが賃金改善分900円(同6,000円)となっている。
井関農機は30歳ポイントの賃金改善分で6,900円を要求したが、2年連続で連結の当期純利益で赤字となる見通しであり、賃金改善分の獲得はならなかった。シチズンもまた、賃金改善分で6,048円を要求したが獲得できなかった。
一時金では、業績連動方式を採らず交渉した組合の結果をみていくと、オークマが年間5.9カ月(要求は6.0カ月)、横河電機が5.8カ月の満額獲得、ジーエス・ユアサが5.15カ月(同5.3カ月)、NTNが5.3カ月(同5.7カ月)、クボタ労連が年間215万円(同年間230万円)、ヤンマーが5.02カ月(同5.3カ月)、井関農機が2.66カ月(同4.5カ月)となっている。クボタ労連では、再雇用社員の一時金も獲得した。
全従業員の最低賃金協定で引き上げを実現した組合も
最低賃金協定では、全従業員の最賃協定で引き上げを実現したところもあり、具体的な内容は、島津が時間額905円への引き上げ(現行900円)、シチズンが960円への引き上げ(現行940円)、ジーエス・ユアサが907円への引き上げ(現行890円)など。井関農機は賃金要求では改善分の獲得はならなかったが、全従業員の最賃協定では870円への引き上げ(現行857円)を達成した。
このほかの産別重点項目の要求では、NTNなど再雇用者の賃上げを実現した組合がいくつかある。
JAMの宮本会長は、「過年度物価上昇がないなかベアであり評価できる」などとコメント。JAMが16日に発表した河野哲也書記長の談話も「過年度物価上昇がない中で、4ケタの改善分は賃金改善・格差是正につながる成果である」と評価している。
JAMの中小の交渉は今後、本格化するが、16日時点で3,000円を超える賃金改善を獲得した300人未満の組合が7組合出ている。