前年上回る一人平均正社員7,938円、パート等28.0円/UAゼンセンの先行グループ
(2016年3月18日 調査・解析部)
スーパーマーケット・百貨店などの小売・流通業界や、繊維や医薬品などの製造業、外食産業など幅広い業種をカバーし、パートタイムなどの組合員も多いUAゼンセン(153万人)は、先行グループ(Aグループ)がヤマ場を越えた17日10時現在の2016賃金闘争の集計を発表した。それによると、正社員組合員については83組合が妥結し一人平均7,938円(2.72%)、ベア等の賃上げ分2,502円(0.89%)、パートなどの短時間組合員については41組合が、時間給の引き上げで28.0円(2.78%)を獲得。同一組合の対前年比でみると、正社員401円(0.12%増)、短時間組合員6.8円(0.6%増)となっている。
大手の流通・小売、外食は6,000円超で妥結
今季闘争でUAゼンセンは、賃金体系維持分に加え、2%基準の賃金引き上げを基本とすることを要求の柱にすえた。また、短時間組合員についても正社員に準じた要求で臨んだ。
これを受けた交渉の結果について、15日以降の正社員の妥結状況(一人平均)をみると、ニトリ労組8,488円(2.57%、内ベア1,497円、手当改定2,041円)、セブン&アイ労連ヨークベニマル労組5,820円+α(1.97%+α、内ベア1,770円、手当改定730円)、イオン労連マックスバリュー九州労組7,012円(2.76%、内ベア1,641円)、カスミユニオン6,725円(ベア1,600円)、ラルズ労組6,255円(2.17%)、全イズミ労組5,911円(2.41%)、イオン労連イオン北海道労組6,900円(2.48%)、イオン労連イオン九州労組5,082円(1.72%、内ベア1,343円)、イオン労連イオンリテールワーカーズユニオン6,999円(2.22%、内ベア1,224円)、イオン労連イオンタウンユニオン1万1,177円(3.11%)、マルエツ労組7,798円(2.61%、内ベア3,500円)、マツモトキヨシ労組6,504円(2.16%、内賃上げ分2,504円)、イオン労連イオンコンパス労組で6,782円(2.48%、内ベア分1,413円)、イオン労連イオンイーハート労組6,447円(2.02%)、イオン労連イオントップバリューワーカーズユニオン6,152円(1.58%)、関西スーパー労組6,600円(2.43%)、福田屋百貨店労組6,286円(2.63%)、ジョリーパスタユニオン6,885円(2.29%、ベア1,272円)、サイゼリヤユニオン6,500円(2.27%、ベア1,000円)、元気寿司労組7,683円(2.93%)などどなっている。
東レなどの化繊関連も6,000円・2%超で収束
また、化繊関連ではクラレグループ労組連合会が6,611円(2.18%、賃上げ分1,100円)、三菱レイヨンユニオン6,946円(2.31%、賃上げ分1,000円)、全東レ労組連合会7,265円(2.49%、賃上げ分1,400円)、帝人労組7,623円(2.34%、賃上げ分1,500円)などの回答を引き出して収束している。
相次ぐ正社員を率で上回る短時間組合員の賃上げ
短時間組合員に対する時給引き上げの妥結内容をみると、正社員の引き上げの率を上回る回答を引き出した組合が相次いでいる。非正規社員の多い流通高利関係ではニトリ労組28.7円(3.07%、契約社員は7,014円・2.96%)、イオン労連イオントップバリューワーカーズユニオン40.0円(3.34%)、イオン労連イオンイーハート労組41.6円(3.28%)、イオン労連イオン北海道労組22.0円(2.52%)、イオン労連イオン九州労組18.2円(2.12%)、イオン労連イオンタウンユニオン29.2円(3.29%)、セブン&アイ労連ヨークベニマル労組25円+α(2.99%+α)、関西スーパー労組28.3円(3.15%)、ラルズ労組21.0円(2.60%)、いなげや労組13.9円(1.48%)、ディノス・セシールユニオン20.0円(2.20%)、アレフユニオン35.0円(3.94%)などとなっている。
また、カルビーは20円(1.58%、契約社員4,000円・1.74%)、ダスキンは20.7円(1.93%、契約社員4,282円・1.93%)でそれぞれ妥結している。
こうした動向を踏まえて、UAゼンセン本部は、中小組合の交渉がこれから本格化することを踏まえ、「もし今次賃上げを見送れば、地域相場から取り残され、優秀な人材採用にも支障が出ることになる」との主張を強く展開し、「物価上昇を上回る賃上げプラス格差是正」を獲得すべく「結果にこだわる」交渉を展開するとしている。