構造維持分含む賃上げ要求は平均9,444円(3.27%)/連合の要求集計

(2016年3月4日 調査・解析部)

[労使]

連合(神津里季生会長)は3日、2016春季生活闘争の2月29日午前10時現在での要求集計結果を発表した。集計対象組合の約6割の単組が要求を提出。平均賃金方式での賃金構造維持分を含めた引き上げ額は9,444円で、引き上げ率は3.27%となっている。

300人未満組合の平均賃上げ要求は8,002円に

要求集計結果によると、集計の対象になっている7,912組合のうち、59.8%にあたる4,734組合が、2月29日午前10時までに要求を提出した。昨年同時期(2月27日時点)に比べ、集計対象組合数は34組合増え、要求提出組合数は230組合増加している。

平均賃金方式で、賃金構造維持分も含めた引き上げ額全体の算出が可能な2,375組合(対象組合員数204万1,307人)の引き上げ額をみると、加重平均は9,444円で、引き上げ率は3.27%。昨年同時期比では、額で1,443円、率で0.47ポイントのマイナスになっている。

これを規模別でみると、組合員数300人以上は860組合(対象組合員数186万8,353人)が要求を提出しており、引き上げ額は加重平均で9,596円(3.27%)。組合員数300人未満では1,515組合(同17万2,954人)で、引き上げ額は8,002円(3.24%)となっている。昨年同時期との比較では、300人以上の組合は、要求提出が216組合増えて、額は1,429円(0.45ポイント)減。300人以下の組合は85組合増え、額は1,694円(0.75ポイント)減となる。

一時金要求は年間5.23カ月、非正規の時給要求は約30円増

一方、一時金の平均要求月数(加重平均)は、年間要求(1,468組合)は5.23カ月で、昨年同時期(5.12カ月)より0.11カ月上回った。夏季要求(1,334組合)では2.74カ月となり、こちらも昨年同時期を0.18カ月上回っている。

非正規労働者(定年後の再雇用者は除く)の賃上げ要求については、時給では集計対象128組合(対象組合員数43万325人)の引き上げ額の加重平均は30.48円となっている。

「徹底的に底上げにこだわって展開していく」/神津会長

3日の定例会見で神津会長は、いわゆる3大メガバンクの労働組合が、今春闘での賃上げ要求を行わない一方で一時金のアップは要求する、と報じられていることに言及。「連合に加盟している組織ではないので、間接的に報道を通じてしか知り得ない話だが」と前置きしたうえで、「月例賃金においてどうやって引き上げを図っていくかが労組としての根源的・本来的なあり方であり、言い方は過ぎるかもしれないが、自分のところはボーナスを上げればいいというのは極めて問題が大きいと言わざるを得ない」などと批判した。

そのうえで、「本日、中央闘争委員会で確認したが、月例賃金でどうやって賃上げの広がりをもたせるか、底上げを果たしていくか。改めて気を引き締めて、徹底的に底上げにこだわって展開していきたい」と強調した。

連合は3日に第4回中央闘争委員会を開催。これらの要求状況を踏まえたうえで、「すべての働く者の賃金の『底上げ・底支え』『格差是正』の実現のため、要求趣旨に沿った回答を引き出すべく、強力に交渉を展開していく」などとする確認事項をまとめている。