統一要求提出日における賃金改善要求額の平均は約4,800円/JAM加盟組合の要求提出状況

(2016年3月2日 調査・解析部)

[労使]

金属、機械関連の中小労組を多く抱えるJAM(宮本礼一会長)は2月26日、本部(都内)で記者会見を行い、加盟組合の要求提出状況を明らかにした。統一要求日に設定した23日までに要求を提出した単組は全体の約43%で、提出率はほぼ昨年並み。賃金改善分の要求額平均は、26日の時点で4,848円だった。

26日時点の平均賃上げ要求額は8,759円

JAMの今次闘争の交渉単位組合数は1,579組合となっている。会見が行われた26日時点での要求組合数は679組合で、43.0%という要求提出率となっている(29日時点では47.1%まで上昇)。昨年の同時点での要求提出率は45.4%で、JAM本部では「要求提出のペースは昨年並み」としている。

同日時点での賃金の要求額平均(ベア、改善分なども含む引き上げ額全体)は8,759円(昨年同時期1万422円)。賃金構造維持分を明示できる単組(516組合)のうち、賃金改善分を明確に切り分けて要求した組合(462組合)の改善分の平均をみると4,848円(同6,585円)となっている(29日時点では4,814円)。

「厳しい状況のなかで昨年並みの要求ベースを確保できたことは成果」/安河内賢弘・副会長

労働政策委員長を務める安河内賢弘・副会長は今年の要求ペースについて「交渉を取り巻く状況が厳しいなかで昨年並みを確保できたことは成果だ」と強調。平均要求額については「昨年が9,000円の水準引き上げ要求で、今年が6,000円だから昨年を下回るのは当たり前であって、JAM方針に従って各単組が要求してくれていることの表れ」と説明した。JAMの資料によると、同日時点での水準引き上げ要求額の分布は6,000円に集中している。

一方、各大手組合の賃金引き上げ要求の状況をみると、オークマ=「構造維持分5,694円+賃金改善分6,000円」、島津=「構造維持分5,740円+賃金改善分7,821円」、アズビル=「構造維持分4,897円+賃金改善分2,314円」、シチズン=「構造維持分6,189円+賃金改善分6,048円」、ジーエス・ユアサ=「35歳賃金改善分6,000円」、NTN=「30歳賃金改善分6,000円」、日本精工=「35歳賃金改善3,000円+住宅手当」、クボタ労連=「定期月俸改定額(約6,900円)+賃金改善6,000円」、ヤンマー=「35歳引き上げ額6,676円」及び「構造維持分6,758円+賃金改善分6,000円」、井関農機=「30歳賃金改善分6,900円」などとなっている。

JAMの宮本会長は「中小では2年続けてベアを実施していない企業の方がはるかに多い。生産性が向上しているにもかかわらず一人当たりの雇用者所得が低下しているのは日本だけだ。この状況をかえていくためにも格差是正を図りたい」と強調した。