賃上げ要求の平均は3,810円/金属労協の集計登録組合の要求提出状況

(2016年2月26日 調査・解析部)

[労使]

金属労協(JCM、相原康伸議長、約201万人)は25日、2016年闘争における大手単組を中心とする集計登録組合の要求状況をとりまとめ、公表した。ベアや賃金改善など賃上げ要求した組合の平均賃上げ要求額は3,810円となっている。

登録49組合が賃上げを要求

金属労協では、集中回答日に回答を引き出し、交渉の先導役となる単組を「集計登録組合」として各産別から登録してもらい、要求や回答状況の情報を加盟組合で共有することで、相場波及力の強化や交渉の相乗効果の発揮を図っている。

今年の闘争では、51組合が登録された。25日時点で金属労協がまとめたところによると、うち49組合について集計が終わり、49組合すべてがベアや賃金改善などの賃上げを要求した。賃上げ要求額の平均は3,810円。なお、過去2年間の要求額平均は、2014年が3,918円(賃上げ要求組合数52組合)、2015年が6,943円(同37組合)となっている。

非正規の処遇改善につながる企業内最賃の引き上げも

一時金についてみると、51の登録組合のうち、31組合が「要求・回答方式」で取り組み、17組合が業績連動方式となっている。

非正規雇用の処遇底上げにつながる企業内最低賃金協定の取り組みでは、51登録組合すべてが協定を締結しており、現行の締結額の平均は15万9,692円。各加盟産別の現行水準の平均と引き上げ額の平均をみると、自動車総連が現行16万1,235円(8組合)で、引き上げ額は非公表、電機連合が15万8,500円(11組合)で2,000円(11組合)、JAMが16万1,252円(11組合)で3,133円(3組合)、基幹労連が15万9,309円(14組合)で3,452円(5組合)、全電線が15万6,938円(4組合)で5,000円(3組合)となっている。

賃上げに対して極めて厳しいやりとりがなされている(相原議長)

相原議長(自動車総連会長)、有野正治・電機連合委員長、宮本礼一・JAM会長、工藤智司・基幹労連委員長、海老ヶ瀬豊・全電線委員長の加盟5産別のトップは同日、金属労協本部(都内)で会見した。

冒頭、相原議長は、集計登録組合の要求提出時の経営側の全体的な姿勢について、「日本経済の好循環に向けての社会的要請については一定の理解を示しているものの、国内経済の先行き不透明感、物価上昇が目に見える形になっていないこと、株安・円高など将来見通しがつきにくいことや、2年連続で賃上げを行ってきたことなどから、賃上げに対しては極めて厳しいやりとりがなされている」と報告した。

続いて、各産別のトップが順に傘下組合の要求提出状況を説明。それによると、自動車総連では1,025の集計単位組合のうち、同日までに680組合(66.3%)が要求提出を終えた。「最終的には要求提出率は100%になる見通し」(相原・自動車総連会長)という。

賃金改善額の平均は3,216円で、規模3,000人以上の組合は3,000円で揃う一方、中小も含めた2,999人以下の組合では3,200~3,300円と3,000円を超える水準となっている。また、3,000円を超える賃金改善を要求する組合の割合は最終的に2割になる見込みだという。相原会長は、「規模によらず3,000円の要求が出てきている点は高く評価している」とコメントした。

電機連合の有野委員長は、18日までに中闘組合が要求提出を終えたと報告し、「月内で、まず労働協約関連を決着し、残りの交渉期間で賃金を詰めていきたい」と話した。状況については「3年間で一番厳しい交渉にならざるをえない」とし、過去2年間で計5,000円水準を引き上げてきたことが重しになっていると述べた。

JAMは23日を統一の要求提出日に設定したが、1,579の交渉単位組合の5割超が同日に要求提出し、過去最高の水準だと評価した。JAMの集計登録組合の平均賃上げ要求額は5,803円。全体では現時点で4,969円となっているという。

基幹労連は、交渉単位組合が322組合で、同日までに126組合(約40%)が要求提出し、うち119組合が賃金改善を要求したと報告した。

全電線では、35組合が23日に一斉に要求提出し、賃上げ要求した34組合すべてが3,000円以上の賃上げを求めたと報告した。