東芝、シャープの産別統一闘争離脱を正式確認/電機連合の第1回中央闘争委員会

(2016年2月24日 調査・解析部)

[労使]

電機連合(有野正治委員長、約62万人)は22日、今春闘における中央闘争委員会の初会合を本部(都内)で開催した。産別統一闘争を展開する各組合の要求提出状況が報告されたほか、不正会計問題で揺れる東芝と、経営再建中のシャープの産別統一闘争からの離脱が正式承認された。

電機連合では、13の大手労組で中央闘争組合(以下、中闘組合)を構成。中闘組合は産別方針にしたがい、統一要求基準に設定された同一の賃上げ額を会社側に要求し、ストライキの行使を背景に統一決着に向けて交渉を進める。

中央闘争組合には、パナソニックグループ労連、日立グループ連合・日立製作所労組、東芝グループ連合・東芝労組、全富士通労連・富士通労組、三菱電機労連・三菱電機労組などが名を連ねる。電機連合は今回、「開発・設計職基幹労働者」(30歳相当)の個別ポイントで、現行の賃金水準を「3,000円以上」引き上げることを統一要求基準に掲げた。

東芝の離脱は初めて、シャープは4年連続

第1回中闘委員会では、まず、中闘組合の一員である東芝労組とシャープ労組が統一闘争から離脱することが提案され、正式に承認された。これにより、両労組は今季について、中闘組合としての資格を凍結されることとなった。ただ、中闘委員会や中闘連絡会などの会議には、オブザーバーとして参加できることがあわせて確認された。

日立、パナソニック、東芝、三菱電機、富士通、NECの大手6社と電機連合本部は、春闘期間中、個別企業における交渉と並行して、産別労使交渉も行っている。東芝の中闘資格が凍結されたことで、今季の産別労使交渉は5社で行われることになった。東芝が産別統一闘争を離脱するのは、旧電機労連時代の統一闘争を含めても初めてのこと。シャープの離脱は4年連続だ。

中闘11組合すべてが3,000円以上の賃上げを要求

また、中闘委員会では各組合の要求提出状況が報告された。東芝、シャープを除いた今季の中闘組合はすべて18日までに要求提出を終えた。なお、第1回目の団体交渉・労使協議については今週に予定している組合が多い。

要求内容をみていくと、賃金引き上げでは、産別の統一要求基準に沿い11組合すべてが開発・設計職基幹ポイントで3,000円以上を要求した。一時金については、パナソニックなど5組合が業績に応じて自動的に金額が算定される「業績連動算定方式」を採用しており、6組合が会社側との交渉を行う。

交渉する各組合の要求内容をみると、日立が年間5.9カ月(昨年要求5.9カ月)、三菱電機が6.13カ月(同6.14カ月)、富士電機が5.5カ月(同5.4カ月)、沖電気工業が5.0カ月(同5.2カ月)、明電舎が5.5カ月(同5.5カ月)、パイオニアが4.5カ月(同4.0カ月)。パイオニア労組は昨年に引き続き、業績連動方式ではなく交渉方式を選択した。

このほかでは、中闘組合を含めた各闘争参加組合は3月3日(木曜)までにスト権を確立し、中闘組合については同日までにスト指令権を中闘委員会に委譲することなどが本部から指示された。

委員会の冒頭に挨拶した有野委員長は、「電機各社は通期業績見通しで下方修正を発表し、2016闘争を取り巻く環境は厳しさを増している。だからこそ、要求の実現によって経済の好循環を実現していくことは、我々に課せられた社会的役割であり責任だ」と交渉に向けた意気込みを示した。

<2016春闘>厳しい情勢の中、社会的責任を果たす闘争(2.22)/電機連合新しいウィンドウ