JR連合、JR総連が春闘方針を決定

(2016年2月10日 調査・解析部)

[労使]

JRグループの主力労組であるJR連合とJR総連はそれぞれ、2月上旬に中央委員会を開き、2016年の春闘方針を決定した。JR連合は、月例賃金総額6,000円以上の引き上げをめざし、そのうち3,000円については純ベア統一要求することを決めた。一方、JR総連は、定期昇給を確保したうえで、「6,000円」を統一ベア要求する。

JR連合は月例賃金総額6,000円以上の引き上げ要求/うち純ベア月額3,000円

JR連合(松岡裕次会長、8万2,000人)は3日、大阪市で中央委員会を開催し、「2016春季生活闘争方針」を決定した。JR東海ユニオン、JR西労組などJR7単組は、2014年から18年の運動方針である「中期労働政策ビジョン」に基づき、定期昇給相当分(賃金カーブ維持分)の確保を求めたうえで、諸手当を含む月例賃金総額6,000円以上の引き上げを要求することを決めた。そのうち、純ベア統一要求として3,000円を目安に求めるとしている。

純ベア統一要求以外の諸手当を含む賃金要求項目については、「総合生活改善や格差是正の観点に立って各単組において判断する」としているが、方針は「長時間労働抑制のための超過勤務手当の単価の引上げや少子化対策としての扶養手当増額等」といった具体例を示し、「各単組はワーク・ライフ・バランス実現に資する要求項目を盛り込む」ことを求めている。

なお、定期昇給の仕組みのない単組では、月例賃金総額の1万500円以上引き上げを目安とし、そのうち4,500円を定期昇給相当分、3,000円を目安に純ベア統一要求分とする。

非正規労働者に関しては、「均等待遇の実現」を打ち出している。正社員化の制度導入および要件緩和に取り組むとともに、昇給ルールの導入・明確化の取組みを進める。また、JRグループ会社、協力会社などの労働条件の「底上げ・底支え」の取組みも方針に盛り込まれている。

闘争日程については、JR各単組の要求提出期限を2月15日に設定し、グループ労組も可能な限り同月29日に要求書の一斉提出を行う。交渉のヤマ場設定は、連合が設定する3月14~18日の先行組合回答ゾーンを念頭に置きつつ、JR連合の執行委員会で決定するとしている。

JR総連は月額「6,000円」を統一ベア要求

JR総連(武井政治委員長、7万2,000人)は5日、都内で定期中央委員会を開催し、2016春季生活闘争方針を決定した。

今春闘の賃上げ要求では、例年どおり、統一ベア要求を掲げている。JR東労組など定期昇給分(賃金カーブ維持分)の算定が可能な組合は、定昇分を維持・確保するとともに、過年度物価上昇分、生活維持・改善分として、「6,000円」を統一ベア要求する。定期昇給分の算定が困難な組合は、連合・中小共闘方針をふまえ、定昇・賃金カーブ維持分を含む1万500円を要求する。

非正規労働者に関しては、JRグループ内外までを視野に組織化に取り組む。契約社員の雇用確保と正社員化、均等待遇の実現をめざし、連合方針を踏まえ「誰もが時給1,000円」を掲げている。

ワーク・ライフ・バランス関連の取り組みでは、 (1) 36協定違反の根絶に向け、職場実態を総点検 (2) 連合の「中期時短方針」に基づく、年間所定労働時間2,000時間を上回る組合をなくす、年次有給休暇の初年度付与日数を15日以上とするなどの目標達成 (3) 特別条項付36協定の適切な上限設定・適用にあたっての事前労使協議、原則11時間の勤務間インターバル規制の導入――などを打ち出している。

闘争日程については、要求提出日を、原則として2月中としている。回答指定日は、連合方針をふまえ、最大のヤマ場を3月16日に設定。JR各単組の「第1先行組合回答ゾーン」を同月14~18日としている。