ベア5,600円を統一要求/私鉄総連拡大中央委員会
(2016年2月3日 調査・解析部)
大手私鉄やバスなど約230の労働組合が加盟する私鉄総連(藤井一也委員長、11万4,000人)は2日、都内で第2回拡大中央委員会を開催し、2016年の春季生活闘争方針を決定した。賃上げの統一要求として、月額基本給1人平均2.0%(定期昇給相当分)プラス5,600円(ベースアップ分)の引き上げを求める。
長時間労働と低賃金の状況を続けることはできない/藤井委員長
あいさつした藤井委員長は、「交通産業では長年、要員不足が大きな問題となっている。産業の特性である長時間労働と低賃金の状況を続けることができないのは明らかだ。労使で現状を直視し、互いに誠意のある交渉をしなければならない」と述べた。賃上げ要求については、組合員にとって実質賃金の維持向上が不可欠だとし、加えて「賃金制度が確立されていない組合においては、制度確立を通年で交渉していくようお願いしてきた。さらにこれを求めていかなければならない」と強調した。
私鉄総連では10月以降に取り組んだ2015年秋季年末闘争で、「定期昇給制度を基本とした賃金制度の確立と拡充」を掲げ、中小組合を中心に一定数の組合で制度確立に向け前向きな回答を得たほか、制度拡充についても前進が見られている。
定昇相当分2.0%の引き上げを軸にベア分5,600円を要求
16春闘方針でも、賃金制度の確立について「定期昇給分(賃金カーブ維持分)については、人材を確保し、産業を成り立たせるうえでも最低限必要なものであり、経営責任としてその確保を強く求める」としている。要求では、定期昇給相当分が各組合の平均基本給の2.0%となるよう交渉を進める。そのうえで、賃金制度がなく定期昇給分の推計ができない組合は平均基本給2.0%と、生活維持分+生活回復・向上分(ベースアップに相当)として5,600円を要求する。ベア分の額は、前年より100円上積みしている。賃金制度が確立され定期昇給分について労使確認ができている組合は、ベア分を要求する。
年間臨時給(一時金)については、「賃金の後払い」的な性質を持つことを踏まえ、生活防衛、年間収入確保などの観点から、2015年度の協定月数を堅持するとともに、年間5カ月に満たない組合については、5カ月を要求することを基本とし、最低でも3カ月分の達成をめざす。
ハイヤー・タクシーの専業組合の統一方針では、歩合給中心の賃金体系から、基本給もしくは固定的手当の充実をめざす。基本給について「1人平均2.0%(定昇相当分)と生活維持分+生活回復・向上分(ベア分)の5,600円」の引き上げを要求。出来高制賃金組合は、この要求を「固定的賃金の新設・拡充の原資として要求する」としている。年間臨時給は、年間5カ月分を基本目標とする
契約社員やパートなど非正規労働者の時間給については、「60円以上の引き上げ」を基本に改善を求める。
ヤマ場の戦術日程は2月29日に決定
交渉日程としては、賃金・臨時給および産別最賃の要求を2月8日に提出。ストライキ権の確立について、同月8日から3月3日正午までに各組合が投票を行い結果を集約する。闘争のヤマ場については、交渉の経緯などを踏まえて2月29日に予定している中央闘争委員会において戦術日程を決定する。