すべてが月例賃金引き上げに取り組む/フード連合の闘争方針

(2016年1月27日 調査・解析部)

[労使]

食品産業関連の労働組合でつくるフード連合(松谷和重会長、10万7,000人)は25日に都内で中央委員会を開き、すべての働く者の「底上げ・底支え」「格差是正」に総力を挙げて取り組むことを前面に打ち出した闘争方針を決めた。安定的・継続的な観点から「月例賃金の引き上げ」にすべての組合が取り組むとしている。具体的な統一闘争の要求基準は、各社の賃金制度、産別目標への到達度合いで組立て方は異なるものの、連合の方針を受け定昇相当分を除いて2%(6,000円)を軸に設定している。

定昇相当除いて2%(6,000円)を軸に

方針書によると2015年度の「食品製造業」は「売上高」「経常利益」「純利益」とも増加の見通しで、伸び率は製造業(全規模合計)と比較しても高い。とくに「純利益」は前年度に比べて大きく伸長することが予想されている。こうした業況と産業内でも低位にある食品関連産業の賃金水準の実情を踏まえて、相対的地位の向上と14年、15年と続いた賃上げの継続性を重視して、「月例賃金の引き上げ」にすべての組合が取り組むとしている。

方針では、賃金の引き上げについて、すべての組合はまず賃金実態を把握し、その「絶対水準値」に応じて、産別で策定している賃金ビジョンにおける「年齢別ミニマム基準」の確保を前提とした上で、それぞれの実情に応じた要求を設定。定昇制度が確立していない組合は11,000円以上、定昇を確立し賃金ビジョンの「到達目標」に満たない組合はベア2%(6,000円)以上、賃金ビジョンの「目標水準」に満たない組合はベア2%(6,000円)基準、目標水準到達組合は2%(6,000円)を基準とした原資獲得――にそれぞれ取り組むとしている。

一時金は、年間6カ月以上を目標とし、最低目標を年間4カ月においている。非正規労働者の格差是正に向けて、企業内最低賃金のすべての組合による締結化を目指しつつ、全従業員または組合員を対象に「到達目標」として月額153,000円以上、時間額880円以上、「最低到達目標水準」として、時間額780円以上の確保を設定。「誰もが時給1,000円」の実現を目指しつつ、40円を目安に時給の引き上げを求める。

冒頭のあいさつで松谷会長は、14、15年と連続した賃上げ行われたにもかかわらず、要求と妥結額の乖離が大きい結果となったなどの課題をあげ、2016春闘での全体的な賃上げは「社会的な要請であり、これを実現しなければ好循環は遠のく。かつての国民春闘では大手・中小とも同じ目的に向かって団結した。皆で取り組む『オール・フォー・ワン』の春闘にしよう」と呼びかけた。