3,000円以上の賃金改善分を要求へ/自動車総連の闘争方針案

(2015年12月25日 調査・解析部)

[労使]

自動車総連(相原康伸会長、76万7,000人)は18日に記者会見を開き、 2016年の闘争方針案として、賃上げ要求基準についてすべての組合が「3,000円以上」、直接雇用の非正規労働者に対しても原則として「時給20円目安」に賃金改善分を要求する考えであると発表した。1月14日東京で開催する中央委員会で正式決定する。

非正規に対して初の賃上げ要求目安20円を設定

闘争方針案は同日開催した第6回中央執行委員会で確認したもの。賃上げの要求基準案として、「基準内賃金の平均ですべての単組は目指すべき経済の実現、物価動向、生産性向上の成果配分、産業・賃金実態を踏まえた体系是正など観点を総合勘案し3,000円以上の賃金改善分を要求する。なお直接雇用の非正規労働者に対しても原則として賃金改善分を設定する」とした。3年連続で賃金の引上げを求める内容となる。昨年の要求基準は「6,000円以上の賃金改善」だった。

2015年闘争では賃上げ獲得水準や獲得組合数とも前年より増加したが、大手と中堅・中小間の規模間格差が拡大したということもあり、今回の要求について相原会長は「その克服に向けた第一歩をとの狙いもある」とし、「底上げ・格差是正に向けあらゆる手段で取り組んでいきたい」と述べた。また、要求策定に影響を与える物価がゼロ近傍の水準にあり、実質GDPの伸びも低いことなどの経済環境下で、「3,000円以上」を提案したことについては、「デジタルで具体的な数字を算出したものではない」と説明。「一年間の職場での努力は高く評価されてしかるべき。これは企業規模・業種業態を問わず、努力によって今の姿がある。3,000円以上に結集して、着実な成果に結びつけたい」との意欲を示した。

また、直接雇用の非正規に対して時給20円目安とする賃金改善要求を盛り込む。昨年も要求基準の中で直接雇用の非正規労働者について、「原則として賃金改善分を設定する」としていたが、総連として具体的な数字を示したのは今回がはじめてとなる。

バリューチェーンにおける付加価値の適正評価を

16年闘争では規模間格差の是正に向けて、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正な配分が課題となるなか、「2016年闘争からサプライチェーンという表現をやめて、バリューチェーンという言葉にした。バリューチェーンにおける付加価値の最大化・適正評価など、競争力の底上げにつながる方策の検討に着手している最中」との現状を報告したうえで、1月14日の中央委員会で具体的な取り組み方策について示していきたいとの見通しを述べた。