前回大会の運動方針を補強/全労連第52回評議委員会

(2015年7月31日 調査・解析部)

[労使]

全労連(小田川義和議長、約82万人)は7月30、31の両日、都内で第52回評議委員会(大会に次ぐ決議機関)を開催し、2014年の定期大会で決めた向こう2年間の運動方針に関する補強を行った。補強方針では、大会で打ち出した重点課題の順番を入れ替え、憲法闘争の強化を前面に押し出した。

「改憲と戦争する国づくりの阻止」を前面に

あいさつした小田川議長は、「憲法違反、戦後最悪の法律である戦争法案の廃案に、全労連の総力を挙げる決意を、この評議員会で固めあいたい」と強調した。前回定期大会で掲げた「三つの課題」(①賃金闘争、雇用安定や会保障拡充などに取り組む「全労連大運動」の飛躍②「かがやけ憲法署名」を軸とする憲法闘争の強化③すべての加盟組織の組合員純増を目標とする「組織拡大中期計画」――の3つの柱)を踏襲しつつ、その順番と括りを入れ替え、「憲法を守りいかす共同で、改憲と戦争する国づくりを阻止する」運動を前面に据えるとしている。

当面は、自衛隊法、武力攻撃事態法などの法律改正を軸とする「平和安全法案」と新設の「国際平和支援法案」を「戦争法案」として、「単産、地方組織の組合員の力を総結集し、戦争法案廃案のたたかいを8月、9月につくり出すために、すべての課題に優先した取組みを強くお願いする」(小田川氏)と態勢強化の姿勢を鮮明にしている。討論では、議案で示された「重要段階での統一ストを含む大規模な統一行動の実施やメディアも活用した大規模宣伝の工夫など、戦術議論を深める」との方針に対し、「単産のスト権を確立するにあたって、政治的・社会的要求でストができるのか、経営者に対して要求することなのか、などと率直な意見が出された。スト権を確立した単産に大きな支援をお願いしたい」(全印総連)などと具体的な意見が出された。

組織拡大強化の中期計画達成に危機感

「全労連大運動」の課題については、「実質賃金の底上げ」「時短を軸にした働くルール確立と労働法制の緩和など『雇用改革』の阻止」「社会保障拡充」などの各項目に加え、地域活性化を柱とする「持続可能な地域社会への転換を求める取組みの抜本的強化」の項目を新たに加えている。

賃金闘争に関しては、全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会の2015年最終集計結果(7月9日発表)が、組合員一人当たりの加重平均で6,170円(2.08%)と前年と比べ4円減(0.01ポイント減)と「ほぼ前年並みの低額回答」となり、「実質賃金の低下に歯止めをかけ、暮らしを改善する大幅賃上げを実現するには至らなかった」と指摘。16年春闘について「春闘アンケートの内容を再検討し、出足早い取組みで集約を目指す」など「春闘再構築」を進めるとしている。

組織拡大については、2012年の定期大会で確認された「新中期計画」が、16年までの4年間ですべての単産・地方組織に10%以上の純増を求めているのに対し、現状は、全労連の集計による組織人員(2015年6月末現在)が約108万人で、前年から1万6,752人減少している。退職による減少分を新規採用者などの組織加入がカバーできない状況がこのところ続いており、14年度で組織人員の純増を実現した産別は日本医労連と年金者組合のみだった。地方組織でも、純増は47中15組織にとどまっている。減少分を除く同年度の拡大数は9万7,287人となっていて、全労連は「より分析を深め、増勢への手立てを尽くすことが求められている」とし、小田川氏は「すべての加盟組織で純増に転ずる2015年度とし、成果に結びつけていただきたい」と強調した。