国民春闘共闘が中間総括を確認/3割近くがベア獲得

(2015年6月25日 調査・解析部)

[労使]

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事、小田川義和全労連議長)は6月25日、都内で第2回単産・地方代表者会議を開き、2015年春闘の中間総括を確認した。

賃上げは加重平均で6,158円(2.07%)

国民春闘共闘の第7回賃上げ集計(5月29日時点)では、登録835組合のおよそ6割となる495組合が回答を引き出し、前年同期(2014年5月29日時点)の499組合(58.4%)とほぼ同水準となった。うち金額・率回答を引き出した367組合の単純平均(一組合あたりの平均)は5,729円(2.06%)で、金額では前年同期と比べ51円のマイナスとなったが、率で0.05ポイント上回った。組合員一人あたりの加重平均では6,158円(2.07%)となり、前年実績からは57円(0.02ポイント)下回る結果となった。

今春闘では前年から要求額を引き上げ、月額2万円以上(前年1万6,000円以上)、時間額150円以上(前年120円以上)の要求を掲げていた。会議であいさつした小田川代表幹事は賃上げの結果について「ほぼ昨年並みだった。難しい数字だ」と述べたうえで、前年との比較が可能な組合の集計結果について「がんばっていただいた」と評価した。この賃上げ実績比較(単純平均)をみると、金額の比較可能な322組合では賃上げ額が5,840円と前年(5,723円)を117円上回り、うち6割に相当する197組合が前年実績以上の賃上げを獲得している。また、率の比較可能な187組合では賃上げ率が2.15%と同じく前年(2.11%)を0.04ポイント上回っている。

同一産業、同じ単産内でも格差拡大

中間総括では、今春闘の特徴として「産業間のばらつきが大きいだけでなく、同一産業や同じ単産のなかでも格差が目立つ状況になっている」と指摘した。「春闘の波及効果という機能が薄れている面が見て取れる」とし、「相場形成という観点から統一闘争への結集や戦術配置についてより踏み込んだ議論が必要になっている」と分析している。

非正規労働者の状況については、時間額での引き上げ額の報告があった170件の単純平均額が27.7円となり、前年実績額を1.1円上回った(日額の賃上げ実績は7件・平均105円、月額では44件・平均3,301円)。小田川氏は「すべての労働者の賃上げを重視して勝ち取った」と評価するとともに、「急速に進んでいる人手不足も影響している」と指摘した。

ベースアップ獲得組合は前年から増加

国民春闘共闘がまとめた第5回進捗状況調査によると、定期昇給制度のある回答引出し組合(841組合)のうち、「定昇+ベア」獲得組合は237組合(28.2%)となり、前年同期の190組合(20.0%)を47組合・8.2ポイント上回った。「ベアゼロ・定昇のみ」は588組合(69.9%)で、前年同期から161組合・9.0ポイント減少している。中間総括は、「昨年、今年とベア回答が一定数出るようになってきた」が、ベアゼロが続いた状況のもとで「取組みの弱まり、ベアゼロの惰性とでもいうべき状況を克服し切れていない」と指摘している。