300人未満の賃上げ5,185円、2.08%(3月末)/連合・2015春季生活闘争共闘推進集会

(2015年4月3日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)は2日、都内で2015春季生活闘争共闘推進集会を開催した。本部が3月末時点での回答集計結果を報告。それによると、要求提出した6,270組合のうちの2,003組合について集計した平均賃金方式での賃金引き上げ結果は、定昇相当分込み6,944円で、率では2.33%となっている。昨年同時期と比べると、額では449円、率では0.13ポイント上回った。300人未満の組合だけでみても、賃上げ率は2.08%と2%台を維持している。

賃上げの広がりと加速の両面が進みつつある/古賀会長

集会の冒頭で挨拶した古賀会長は、ここまでの交渉状況について、「先行組合のヤマ場以降、例年に比べ短い交渉期間だったが、3月内決着をめざして交渉を進めた結果、例年以上に多くの組合が昨年を上回る回答を引き出している。現時点では、賃上げの広がりと加速の両面が進みつつあると受け止めている」と評価した。一方、「しかし、交渉の実態は、世間で言われるような『官製春闘』という追い風が吹いてわれわれの交渉を後押ししたわけではない。むしろ、経営側はマクロレベルでの賃上げの必要性には理解を示しながらも、足元の企業業績や先行きの不透明感、月例賃金の引き上げが中長期的に与える影響を考慮し、われわれの要求に対して最後まで後ろ向きの態度を崩さず、たいへん厳しく難しい交渉になった」とも言及。そのうえで、「すべての組合がマクロ経済の観点や、働くものの生活実態、自社の競争力強化につながる人への投資の必要性を粘り強く、繰り返し主張したことで、回答引き出しにつながった」と強調した。

3月末時点の賃上げは6,944円、2.33%に

須田孝総合労働局長が、3月末時点での回答集計結果を報告した。それによると、集計組合総数は8,661組合で、要求提出組合は6,270組合。2,003組合(昨年同期比41組合増)について集計した平均賃金方式の回答結果をみると、定昇相当分込みの賃上げ額(加重平均)は6,944円、率(同)は2.33%で、昨年同期に比べ額では449円、率では0.13ポイント上回っている。

300人未満でみると(1,216組合について集計)、賃上げ額は5,185円で、率は2.08%で、昨年同期比は額が375円増、率が0.11ポイント増となっている。

平均賃金方式で集計した組合のうち、定昇相当分を除く賃上げ分が明確に分かる組合(1,224組合)で、賃上げ分の額と率をみると、額は2,089円で、率は0.68%。300人未満(633組合)では額が1,765円、率が0.70%となっており、率では全体平均と同程度の水準となっている。

非正規労働者の時給引き上げは単純平均で17.24円

非正規労働者の時給引き上げの状況をみると、単純平均の賃上げ額は17.24円で、加重平均が18.17円。昨年と比べると、単純平均では3.16円、加重平均では5.88円上回る。なお、平均時給は単純平均が968.44円、加重平均が927.65円。

月給の引き上げ状況をみると、単純平均の賃上げ額は3,756円で、率が1.85%。加重平均では額が4,237円で率が2.11%。賃上げ額を昨年と比べると、単純平均では417円、加重平均では1,046円上回る。

集会ではこのほか、UAゼンセンとフード連合、全労金が取り組みを報告。また、地方連合会の地域・地場への相場波及の取り組み報告を連合愛知が行った。UAゼンセンによると、4月1日までの、正社員の300人未満の賃上げ率(妥結ベース、賃金体系維持分込み)は2.33%(単純平均)、同組合での対前年比が0.21ポイントとなっており、全体計の率(2.34%)および前年比(0.18ポイント増)と「遜色のない結果となっている」(松浦昭彦書記長)。フード連合は、ベア・賃金改善を獲得した組合が2014春闘に比べ倍増し、非正規労働者の賃上げ獲得組合も倍増したことなどを報告した。

共闘推進集会は、中小・地場を含めた3月末時点の成果と課題を構成組織・地方連合間で確認し、4月以降の共闘強化や相場波及につなげることを目的としている。