中闘組合の賃金水準改善は3,000円引き上げで決着/電機連合の統一闘争

(2015年3月20日 調査・解析部)

[労使]

統一闘争を展開する電機連合(有野正治委員長)の中闘組合の賃上げ交渉は、開発・設計職基幹労働者(30歳相当)の個別ポイントの賃金水準を3,000円引き上げることで決着した。組合側は昨年も2,000円の引き上げを獲得しており、賃金水準の改善は2年連続。4,000円の引き上げを要求していた産業別最低賃金(18歳見合い)については、現行水準(15万6,500円)を2,000円引き上げることで労使が合意した。電機連合によると、産別最賃を時給に換算すると、今回のアップにより1,000円台に乗ったという。

電機連合では、パナソニックグループ労連や日立製作所労組、東芝労組などの13組織が中闘組合となり、スト権を立てて統一交渉を行う。ただ、業績悪化のシャープが今年も統一闘争を離脱したため、12組織で統一交渉を展開した。

賃金水準の改善では、組合側は12組織そろって、開発・設計職基幹労働者(30歳相当)の個別ポイントの賃金水準を6,000円引き上げることを要求。交渉の最終盤に向け、16日に開催した中央闘争委員会で、賃金については3,000円以上引き上げることを闘争行動の回避基準(いわゆる歯止め基準)に設定し、交渉を追い込んだ。回答指定日である18日、経営側からは歯止め基準ギリギリの3,000円引き上げの回答が一斉に示された。

なお、昨年は同ポイントで4,000円の引き上げを要求し、2,000円を獲得した。これにより2年連続での賃金引き上げとなった。

産業別最低賃金(18歳見合い)は、現行の協定額は15万6,500円で、組合側はこれを4,000円引き上げて16万500円とするよう要求していたが、最終的には2,000円引き上げて15万8,500円とすることで折り合った。

一時金は比較できるすべて組合で前年比アップ

一時金は12中闘組合のうち、日立、三菱電機、富士電機、沖電気工業、パイオニア、明電舎の6組合が交渉して回答を求める方式で、それ以外の組合は業績連動算定方式を採用している。交渉組合の回答結果をみると、日立は5.72カ月(要求5.9カ月)、三菱電機が6.03カ月(同6.14カ月)、富士電機が5.25カ月(同5.4カ月)、沖電気工業が5.1カ月(同5.2カ月)、パイオニア4.0カ月(同4.0カ月)、明電舎5.0カ月(同5.5カ月)となっている。昨年、統一闘争を離脱したため比較できないパイオニアを除くと、すべての交渉組合が昨年実績よりもアップしている。

18日、金属労協本部で行われた会見で有野委員長は、「電機産業労使として、社会的責任、役割をどう果たすのか、昨年とは比べものにならないプレッシャーを受けた交渉だった。回答からすると、その役割は一定程度果たせたのではないか」などと話した。

  • 2015年総合労働条件改善闘争の回答内容(中闘組合)/電機連合HP