トヨタ4,000円、日産5,000円、ホンダ3,400円など/大手自動車の回答

(2015年3月20日 調査・解析部)

[労使]

大手自動車メーカーの労使交渉は18日集中回答日を迎え、組合が昨年実績を大きく上回る回答を得た。すべての組合で、2002年以降過去最高水準でベースアップ相当を含む賃金改善分の獲得となる。トヨタ自動車は前年実績を平均1,300円増の4,000円の引き上げを回答、定昇相当を含めて11,300円となる。日産自動車はトヨタを上回る5,000円引き上げ(前年比1500円増)、平均賃金改定原資11,000円の回答、ホンダは前年より1,200円増のベア3,400円で決着した。

自動車総連は今季交渉ですべての組合が6,000円以上の賃金改善を要求。昨年実績以上の回答引き出しと関連企業や下請け関連との格差是正も目指した。最終局面まで、経営側は賃上げによるグローバル競争力低下への懸念、不透明な業績見通しを理由に、厳しい姿勢を崩さなかった。これを受け、自動車総連14日の中央闘争委員会で、「賃金改善分については、昨年の価値ある成果を乗り越えるとともに、掲げた要求に沿った回答にこだわり、最大限押し込む」「一時金については、要求水準への組合員の強い思いを踏まえ、『満額獲得』に向け最後まで押し込む」、ことを確認。最終盤の交渉・協議に臨んだ。

その結果、トヨタは11,300円、日産は平均賃金改定原資11,000円、本田技研ベア3,400円などの回答が示された。後続のメーカーにおける労使交渉でも昨年実績を700~1,500円の幅で上回る回答が示されたほか、賞与・一時金についても過去最高水準の回答を含む昨年以上や組合要求どおりの満額回答となった。

また、具体的な回答内容は各社で異なるものの、初めてメーカー労組がそろって要求した、契約社員や期間工など非正規労働者に対する処遇改善でも、時給の改定や正社員登用の促進などで要求どおりまたは進展ありの回答が示されている。

デフレ脱却と経済好循環にむけた確固たる二歩目を踏み出した

これを受け、自動車総連は同日、「デフレ脱却と経済好循環にむけた確固たる二歩目を踏み出したと同時に、職場や自動車産業労使に対する社会の強い期待などを背景に、労働組合としての役割を果たし得たものと受け止める。今次要求の根拠やそこに込めた思い、すなわちこれまでの組合員一人ひとりの労働の質的向上に対する『評価』と将来にむけた『期待』、デフレ脱却と経済好循環に何としてもつなげていく必要、さらには2015年総合生活改善における自動車産業労使が与えられた役割を交渉において訴えてきたことが表われたものと受け止める。同時に、次の世代に質の高い雇用と豊かで安定した社会を残すため、現在の回答引き出し状況が、これから本格交渉を迎える中堅・中小組合の交渉の下支えとなり、業種や企業規模にかかわらず、賃金水準向上の動きが広く自動車産業内外に波及していくことを強く期待したい」などとする、相原康伸会長の談話を発表した。