体系維持含む要求平均額は正社員が1万595円(4.19%)/UAゼンセン加盟単組の要求状況

 

(2015年3月11日 調査・解析部)

[労使]

UAゼンセン(逢見直人会長、約147万人)は10日、都内で2015賃金闘争・統一地方選挙必勝総決起集会を開催し、加盟組織における労使交渉の情勢報告などを行った。正社員の賃金闘争では、9日現在の集計で、1,851の参加組合のうち555組合が要求しており、賃金引き上げ分の平均額は5,847円(2.11%)。賃金体系維持分も含めた全体の要求額では1万595円(4.19%)となっている。一方、208組合の要求状況を集計したパートなどの短時間組合員については、時給引き上げ額の平均は38.1円(4.05%)。

UAゼンセンの闘争方針では、加盟組合の要求提出は2月末日までとなっている。中央闘争委員会のなかですでに、最初に回答を引き出す「Aグループ」組合の回答のヤマ場(解決目標)を3月19日、次の先行グループである「Bグループ」組合が同25日、その次の「Cグループ」が同31日とすることを確認している。

落ち込んだ実質賃金を取り戻すのが2015闘争の意義/逢見会長

集会の冒頭で挨拶した逢見会長は、「消費者物価の上昇によって落ち込んだ実質賃金を取り戻すのが2015闘争の意義だ」とあらためて強調。直近の年度の過年度物価上昇率が概算で2.8%、2.9%程度になるとの見方を示しながら、「物価上昇分の賃金を勝ち取らないと、実質賃金は落ち込んだままとなる」とし、「内外から、賃上げに対する関心や期待が高まっている。期待する職場の組合員が背負う生活をうけとめて、ヤマ場の闘いを進めていかなければならない」などと呼びかけた。

また、3月4日に妥結承認の第1号となったすかいらーく労組について触れ、「1万500円の要求満額で、妥結承認第1号となった。これに続く組合が今週中に続々と出ることを期待する」と述べた。

交渉の情勢報告を行った松浦昭彦書記長によると、今回の正社員組合員に関する賃金闘争の参加組合数は1,851組合(144万人)で、短時間組合員でも600組合を超える規模の闘争になる(対象となる短時間組合員数では70万人を超える)。

9日現在の要求集計を詳しくみると、正社員の賃金闘争では、1,851組合のうち555組合が要求しており、要求進捗率は30%。要求内容では、賃金体系維持原資の単純平均が4,468円(率にすると1.58%、191組合について集計)、賃金引き上げ分が5,847円(同2.11%、196組合)で、全体では1万595円(4.19%、548組合)となっている。前年同時期と比べると、賃金引き上げ分は2,035円高い要求となっている。

短時間組合員の要求は単純平均で時給38.1円(4.05%)

短時間組合員の賃金闘争をみると、208組合が要求。うち、パートタイマーの算定基礎時給は939.5円(199組合の平均)となっている。要求内容では、制度昇給分の単純平均が9.5円(1.01%、90組合)、賃金引き上げ分が25.2円(2.76%、99組合)で、全体では38.1円(4.05%、208組合)。全体額を前年同時期と比べると、2.9円プラスとなっている。

一方、契約社員については85組合が要求しており、算定基礎月給は20万148円。要求内容では、制度昇給分が2,681円(1.38%、53組合)、賃金引き上げ分が5,225円(2.57%、56組合)で、全体では7,519円(3.79%、85組合)。前年同時期と比べると、全体では2,001円高い。

10日に明らかになった中核共闘登録組合の正社員組合についての要求内容をみると、東洋紡績労組など綿紡部会や、全東レ労組連合会など化繊関連の組合の賃金の引き上げ分は軒並み2%で揃っている状況となっている。流通部門では、イオン労連イオンリテールワーカーズユニオンなど2%を超える引き上げ分を要求しているところが多い。総合サービス部門では、丸大食品労組やジョリーパスタユニオンなどが、すでに妥結となったすかいらーく労組の要求額と同じ、体系維持原資も含めた全体で1万500円を要求している。

集会ではこのほか、製造産業部門からニチアス労組、流通部門からライフ労組、総合サービス部門からジョリーパスタユニオンが代表して現場での取り組みを報告。このうち、ライフ労組は、2年前に1万人を組織化したパート組合員から、能力伸長分や成果をあげたことをきちっと評価してほしいとの意見が多くあがったことから、昨年、パート社員への定昇制度の導入を会社側に提案。1年間の検討を経て、この5月に制度導入が図れそうだと報告した。ジョリーパスタユニオンは、総合サービス部門フード部会の組合企業の年間総実労働時間数は、製造産業部門に比べて230時間もの格差があると報告。日常の取り組みのほかに産業横断的なルールが必要だとの認識から、昨年は勤務間インターバルの導入に取り組んだことなどを説明した。