賃金改善分の平均額は6,585円で過去最高/JAM加盟単組の要求状況

(2015年3月4日 調査・解析部)

[労使]

金属や機械関連の中小労組を多く抱えるJAM(眞中行雄会長)は2月27日、今春闘における2月25日現在での要求提出状況を明らかにした。交渉単位組合の約45%が賃金引き上げを要求しており、賃上げを要求した組合の改善分の平均額は6,585円となっている。

平均賃上げ要求額がはじめて1万円台に

JAMでは、2月24日を統一要求日に設定しており、できるだけ多くの加盟単組がこの日までに要求提出を終えるよう指導してきた。25日現在での提出状況をみると、交渉単位組合1,590組織のうち、722組合が賃上げ要求を行っており、要求提出率は昨年同時期の43.1%を上回る45.4%。JAM結成以降の春闘(2001年から)でもっとも高い割合となっている。

賃上げを要求している組合の要求方式をみると、「平均要求」が714組織で、「個別賃金要求」が98組織となっている(両方式を並立で要求している組合もある)。

平均賃上げでの要求額平均は1万422円で、1万円の大台に乗せた。1万円台となったのはJAM春闘ではじめて。これを同一単組で前年と比較すると、前年を2,363円上回る。300人未満の組織だけでみても、要求額平均は1万155円で、1万円を超える要求額となっている。

なお、個別賃金での要求平均をみると、30歳ポイントが24万5,579円で、35歳ポイントが27万1,338円となっている。

賃金改善分は前年を2,600円上回る水準

賃上げ要求した組合のうち、賃金構造維持分を明示している単組は540組合ある。540組合のうち、賃金改善分を要求している単組は504組合あり、この組合で賃金改善分の平均を算出すると6,585円。今年の賃上げ要求基準は9,000円で、昨年は4,500円だったことから、今年と昨年とでは要求額が異なるものの、昨年の改善分の平均額3,982円と比べると約2,600円高い水準となっている。

6,500円台となった今年の改善分の平均額について、労働政策を担当する藤川慎一副会長は「産別方針の9,000円とは開きがあるが、連合方針の2%以上に沿う要求はできている」と話す。賃上げ要求した722組合のうち、9,000円以上の賃金改善分を要求している組合は212単組で、賃上げ要求組合全体の29%にあたる。昨年、要求基準の4,500円以上の額を要求した単組割合は33.9%であり、藤川副会長は、「昨年とそん色ない数字だ」と評価する。

一方、一時金の要求提出状況をみると、半期要求が447単組あり、平均額は64万3,565円で、月数にすると2.37カ月。同一単組で前年と比較すると額で1万3,341円増、月数で0.04カ月増となる。年間要求は307単組で、平均額は133万4,423円、月数では4.80カ月となっている。同一単組での前年比は、額が3万8,070円増、月数が0.11カ月増となる。

金属労協の集計登録組合で、3月18日の金属労協の集中回答日までに回答を引き出す「Aグループ」に位置付けられている大手単組の賃上げ要求の内容をみていくと、オークマ=「構造維持分5,934円+ベア9,000円」、島津=「構造維持分5,711円+ベア約9,000円(非正規改善含む)」、アズビル=「構造維持分5,170円+ベア改善3,830円」、シチズン=「ベア9,027円」、ジーエス・ユアサ=「構造維持分5,849円+ベア9,000円」、NTN=「30歳ベア9,000円」、日本精工=「35歳引き上げ額9,000円(制度改定分2,500円含む)、クボタ労連=「定期月俸改定額(約6,700円)+T職賃金改善を含む9000円」(T職はテクニカル職という社員区分)、コマツ=「構造維持分6,400円+ベア改善」、ヤンマー=「構造維持分6,905円+賃金改善9,000円」、井関農機=「30歳賃金改善1万5,900円」となっている。

なお、横河電機は希望退職募集を実施していることなどから、昨年に引き続き共闘から外れている。

JAMの眞中会長は、賃金改善分の平均が6,585円となったことの評価について、「アベノミクスの恩恵を受けた組合と、円安リスクにさらされた組合に2極分化している」と分析しながら、「規模の小さい組合からは、本当に9,000円も要求できるのか、といった声もあったが、要求状況をみるかぎり健闘している」などと話した。