月額6,000円の賃上げ、一時金4.3カ月を要求/JP労組中央委員会
(2015年2月25日 調査・解析部)
国内最大の単一労組である日本郵政グループ労働組合(JP労組、小俣利通委員長、23万5,000人)は19、20の両日、都内で中央委員会を開き、2015春季生活闘争方針を確認した。正社員の労働条件改善では、組合員平均で基準内賃金の2%に当たる平均約6,000円の賃上げを要求。年間一時金は4.3カ月を求める。
働く者の意欲を高め、活力を最大限引き出すために一時金の早期回復を/小俣委員長
冒頭、あいさつした小俣委員長は、取り巻く情勢について「日本郵政グループは、グループ3社の株式上場に向けて、新たなステークホルダーとなる一般株主の動向を念頭に、一定の利益水準を確保する必要があり、従来にも増して慎重な姿勢で春闘交渉に臨んでくることが想定される」などと説明した。
そのうえで、「このような厳しい労使交渉に向けて、株式上場によって日本郵政グループを成長・発展させるためには、その原動力となる組合員・社員の協力なくして成し遂げることは不可能だ」と指摘。「その働く者の意欲を高め、活力を最大限に引き出すためにも、4年間低位にある一時金の早期回復を軸に、正社員の一時金は『年間4.3月』を求め、月例賃金の引き上げは連合方針に基づき、正社員の基準内賃金を『一人平均2%・約6,000円』引き上げることを中心とした要求を掲げる」と述べた。
賃上げ要求は2年連続、特別手当は0.3カ月で収束
JP労組が正社員の賃上げを要求するのは2年連続。2014年の春季生活闘争では、6年ぶりに組合員平均で基準内賃金の1%に当たる平均3,000円の賃金改善を要求し、組合員平均で月例賃金を1,000円引き上げることで決着した。今春闘では、「賃金カーブの維持として定期昇給の確保に向け取り組む」とともに、正社員の基準内賃金を一人平均2%(約6,000円)引き上げることを求める。
年間一時金は、前年同様、4.3カ月を要求する。一時金に関しては、2010春闘で「年間4.3カ月」を獲得後、2011春闘と2012春闘は郵便事業の赤字等を理由に「年間3.0カ月」に落ち込んだ。ただし、この2年間は、年度予測よりも3月期の業績が上回った場合に当年度分の賞与を調整することを決めており、11年度は「特別報奨金0.2カ月」、12年度も郵便事業の営業利益が黒字転換し、目標を上回る見込みとなったことから「特別手当0.5カ月」が支給された。2013春闘も「年間3.3カ月」で妥結するとともに「特別手当」の支給について継続課題の交渉を行うとして、「0.5カ月」が支給された。
2014春闘は、前年比0.2カ月増の3.5カ月で妥結。その後、「日本郵便の第3四半期決算の営業損益177億円にもとづく営業利益見通しを踏まえ、営業収益、営業費用など細部にわたり詳細に分析した結果」(小俣委員長)として経営側から「0.3カ月」の特別手当の支給が示された。これに対し、組合側も「JP労組が求めた要求水準に対し不十分であることは重く受け止めるが、特別手当の性格や営業利益見通しによって示される支給額には自ずと限界がある」として収束した。
期間雇用社員の処遇改善やワークルールの確立も
一方、格差是正に向けた期間雇用社員の処遇改善も要求の柱に据えており、 (1) 正社員登用のさらなる促進 (2) 月給制契約社員のベースアップ (3) 時給制契約社員の時給単価引き上げ (4) 休暇制度・福利厚生制度の改善――を要求する。
また、総労働時間が大幅に増えている現状を踏まえ、総労働時間の縮減に取り組むほか、改正労働者派遣法・改正労働契約法・改正高年齢者雇用安定法にもとづく法令遵守の徹底とワークルールの確立にも取り組む。