電機メーカー労組が要求提出、シャープは3年連続で統一闘争を離脱/電機連合が中央闘争委員会を開催

(2015年2月25日 調査・解析部)

[労使]

電機連合(有野正治委員長、61万8,000人)は23日、2015闘争における中央闘争委員会の初会合を本部(都内)で開催した。大手電機メーカーの労働組合で構成する中闘組合が、経営側への要求提出の状況を報告した。賃上げについては、電機連合の統一要求基準(開発・設計職基幹労働者の個別ポイントで6,000円以上)に沿い、各労組とも同ポイントで6,000円の賃金改善を経営側に要求。一時金は、会社と交渉を行う組合では、日立製作所労組が5.9カ月、三菱電機労組が6.14カ月を要求している。また、この日の中央闘争委員会で、シャープ労組が統一闘争から離脱することが確認された。シャープ労組の離脱は3年連続。

電機連合の闘争において、統一闘争を展開する中央闘争組合は、パナソニックグループ労連、日立グループ連合・日立製作所、東芝グループ連合・東芝労組、全富士通労連・富士通労組、NECグループ連合・日本電気労組、三菱電機労連・三菱電機労組、シャープグループ労連・シャープ労組、富士電機グループ連合・富士電機労組、村田製作所労連・村田製作所労組、OKIグループ連合・沖電気工業労組、パイオニア労連・パイオニア労組、安川グループユニオン・安川電機労組、明電舎労組の13組織。昨年までは12組織で構成していたが、今年から新たに村田製作所労組が加わった。

しかし、この日の中央闘争委員会で、「シャープグループ労連・シャープ労組から、統一闘争に参加できる状況にないとの判断に至ったとの申し出があった」(野中孝泰・電機連合書記長(中闘事務局長))として、離脱を正式に確認。同労組は、オブザーバーとして中闘連絡会など中闘組合関連の会議には今後も出席できるものの、会議での決定事項への表決権は持てなくなるほか、中闘委員会へのスト指令権の委譲も求められない。同社は今月に入って、2015年3月期の連結最終損益が300億円の赤字になる見通しを発表していた。

開発・設計職基幹労働者の個別ポイントで6,000円の賃金改善を要求

シャープ労組を除く中闘組合の12組織は、18日から19日にかけてそれぞれ要求書を経営側に提出した。要求内容をみると、賃金については、統一要求のため12組織がすべて、開発・設計職基幹労働者の個別ポイントで6,000円の賃金改善(賃金水準の引き上げ)を求める。同じく統一要求基準となっている産業別最低賃金(18歳見合い)引き上げでは、すべての組合が16万500円への到達を求めた(現行協定額は15万6,500円)。

日立労組は年間一時金で5.9カ月を求める

一時金は、今回の闘争では6組合が業績連動算定方式を採用。経営側と交渉を行う組合の要求月数をみると、日立労組が昨年要求より0.1カ月多い5.9カ月、三菱電機労組が昨年要求を0.27カ月上回る6.14カ月、富士電機労組が5.4カ月、沖電気工業労組が5.2カ月、明電舎労組が5.5カ月となっている。昨年は統一闘争を離脱したパイオニア労組はもともと業績連動算定方式を採っているが、今回は交渉方式に切り替え、電機連合の産別ミニマムである4.0カ月を要求した。

これ以外の要求項目をみていくと、賃金の格差改善では、村田製作所労組が、40歳最低賃金の新規の協定締結に取り組む。沖電気工業労組は他の中闘組合との格差改善に向けた年間を通じての労使協議を求める。安川電機労組は、開発・設計職基幹労働者、製品組立職基幹労働者それぞれのポイントにおいて、賃金体系是正額として3,000円を求める。

非正規労働者の賃金に関する取り組みでは、組合員に見合った水準改善額を求めたり、最低でも産業別最低賃金を時給換算した額の確保を求めるなどの取り組みが目立つ。日立製作所労組は、最低でも産業別最低賃金の今回の要求額を保障するよう要求。村田製作所労組は時間給30円引き上げを求め、富士電機労組は正社員の組合員に見合った水準改善を会社に要請する。

中闘委員会の冒頭に挨拶した電機連合の有野委員長は、「今次闘争の意義は、われわれの要求の実現を通して、電機産業で働くすべての人にその結果を波及させ、デフレ脱却と経済の好循環に向け、物価上昇局面にあるなかで実質生活を維持することだ。電機産業労使に与えられた社会的責任は昨年以上に重いものがあり、結果が求められる闘争になる」などと意気込みを述べた。

中闘委員会ではこのほか、中闘組合と中堅規模の組合で構成する拡大中闘組合の回答指定日を3月18日とすることを正式に確認。各組合のスト権確立の期限を3月5日とし、中闘組合は同日までにスト指令権を中闘委員会に委譲することも決めた。