JR連合、JR総連が春闘方針を決定

(2015年2月13日 調査・解析部)

[労使]

JRグループの主力労組であるJR連合とJR総連はそれぞれ、2月上旬に中央委員会を開催し、2015年の春闘方針を決定した。JR連合は、月例賃金総額6,000円以上の引き上げをめざし、そのうち3,000円については純ベア統一要求することを決めた。一方、JR総連は、定期昇給を確保した上で、「6,000円以上」を統一ベア要求する。

JR連合は月例賃金総額6,000円以上の引き上げ要求/うち純ベア月額3,000円

JR連合(松岡裕次会長、81,000人)は2日、香川県で中央委員会を開催し、「2015春季生活闘争方針」を決定した。JR東海ユニオン、JR西労組などJR7単組は、昨年提起した2014年から2018年の運動方針「中期労働政策ビジョン」に基づき、定期昇給相当分(賃金カーブ維持分)の確保を求めた上で、諸手当を含む月例賃金総額6,000円以上の引き上げを求めることを決めた。うち、3,000円については、純ベア統一要求を行う。

方針案の策定に際して、各単組からは、「経営体力に応じて、要求額に幅を持たせるべき」との声があがっていたことから、これを踏まえて、2015春闘では、純ベア分以外の諸手当を含む月例賃金の引き上げ目標額を設定した。諸手当の引き上げに向けた要求項目は各単組において判断するとしているが、長時間労働抑制のための超過勤務手当単価の引き上げや少子化対策としての扶養手当増額などワーク・ライフ・バランスの実現につながる内容を盛り込むことを条件としている。

非正規労働者の賃金の改善もめざす。正社員との均衡・均等処遇をめざす観点から、40円を目安に時給の引き上げを求める。

一方、JR関連会社でつくるJRグループ労組でも、月例賃金総額6,000円の引き上げを目安として設定。うち3,000円を目安に純ベアを求めるほか、3,000円以上を目安に制度改善分として要求する。ただし、定期昇給制度のない労組では、月例賃金総額の1万500円以上引き上げを目安とし、そのうち4,500円を定期昇給相当分、3,000円を目安に純ベア分として求めることを決めた。

JR総連はベア月額「6,000円以上」を要求

JR総連(武井政治委員長、72,000人)は6日、都内で定期中央委員会を開催し、2015春季生活闘争方針を決定した。

今春闘の賃上げ要求では、例年どおり、統一ベア要求を掲げ、交渉に臨む。JR東労組など定期昇給分(賃金カーブ維持分)の算定が可能な組合は、定昇分を確保するとともに、過年度物価上昇分、生活維持・改善分として、6,000円以上(2%以上)を統一ベア要求する。定期昇給分の算定が困難な組合は、連合・中小共闘方針をふまえ、定昇・賃金カーブ維持分を含む1万500円を要求する。

非正規労働者に関しては、組織化に取り組むほか、契約社員の雇用確保と正社員化、均等待遇の実現をめざす。また、連合方針を踏まえた「誰もが時給1,000円」の達成もめざす。

ワーク・ライフ・バランス関連の取り組みでは、36協定違反の根絶に向け、職場実態を総点検するほか、連合が定めた「中期時短方針」に基づき、①年間所定労働時間2,000時間を上回る組合をなくす、②年次有給休暇の初年度付与日数を15日以上とする、③年次有給休暇の完全取得をめざし、一人あたり平均取得日数10日未満の組合をなくす、また、取得日数5日未満の組合員をなくす、④時間外・休日労働の割増率が法定割増率と同水準にとどまっている組合をなくす、⑤すべての組合員の時間外労働(休日労働を含む)を1カ月45時間以下に抑えることを基本とし、少なくとも過労死につながる1カ月100時間または2カ月160時間を超える過重労働を根絶する――ことを目標に掲げた。