自律的労使関係の実現後を見据え、非現業部会を設立/国公連合の定期大会

(2012年10月12日 調査・解析部)

[労使]

非現業国家公務員の労組や政府関係法人の産別組合などで構成する国公連合(棚村博美委員長、10万2,000人、連合加盟)は10日、都内で定期大会を開催した。連合や公務労協に結集しながら、国家公務員制度改革関連4法案の成立をめざすことなどを柱とする2012年度運動方針を決めた。また、国家公務員の自律的労使関係制度の実現を見据え、同制度のもとでの賃金闘争の進め方などを具体的に検討していくため、規約を改正し、傘下の非現業国公組織で構成する「非現業国家公務員部会」を設立した。

給与減額は復興への身を切る貢献

写真・定期大会のようす、主催者あいさつに立つ棚村委員長

国家公務員制度改革に関するここ1~2年の経過を振り返ると、協約締結権の付与などを盛り込んだ関連4法案は2011年6月に国会に提出されたが、結局、成立に至らず継続審議となった。連合側は、震災復興への財源捻出の理由から政府から国公給与の減額方針が打ち出されるなか、減額を容認するかわりに関連4法案の成立と給与減額の同時決着をめざしたが、結果的に給与減額だけが先行して実施される事態となった。国公での給与削減の実施は、政府関係法人にも影響することになり、独立行政法人でも労使交渉を経て、2012年度以降、基本的に同様の措置が講じられる結果となった。

主催者あいさつに立った棚村委員長は、国家公務員の給与減額特例措置と国公制度改革について、「非現業国家公務員、独立行政法人ともに、2年間の減額措置が開始され、生活設計の見直しを含め、組合員に大変な苦労をかけている。引き続き、この交渉の責任者として、震災からの復興に向けた公務、独法など公務職員の身を切る貢献であることを訴えていく所存だ」と述べたうえで、「同時に労働基本権の回復を通じて、次への展望を切り開かねばならない。2年後に向けて協約締結権の付与を背景に、賃金水準を回復することが至上命題だ」と強調した。

不成立は政府・与党の采配に問題も

一方、さきの通常国会で成立しなかった4法案については、「私にとってまさに痛恨の極みであり、極めて遺憾かつ残念な事態だ」と振り返り、「(政府・与党側の)問題点も指摘しなくてはならない」と言及。予算成立以降の国会が、社会保障と税の一体改革の審議が中心となるなかで「政府・与党の対応や采配が的確だったのか。次期国会に向けての政府・与党の決意と覚悟を問わなければならない」と述べた。

棚村委員長はまた、国家公務員の60歳以降の雇用と年金の接続の問題にも触れた。「65歳まで元気に働ける社会をつくっていかなければならないことが本質だが、(定年後の再任用を基本とする)政府の提案からはこうした哲学・考え方がみえない。再任用の義務化の看板にも偽りがある。定員の枠外なら任命権者の雇用義務が免除されるなど極めてできの悪い内容になっている」と問題点を指摘。「段階的に定年延長していくことがふさわしいとするスタンスで交渉していきたい」と今後の協議への意気込みを述べた。

組織拡大に向け推進委員会を設置

運動方針は、産別の機能・役割の強化や、行財政改革から雇用・労働条件を守る取り組み、賃金・労働基本権の取り組みなどが柱。産別機能強化では、公務労協の組織拡大センターに結集して組織拡大に努めるとともに、非常勤職員も含めた未加入者の解消などに向け「組織拡大推進委員会」(仮称)を設置して協議をすすめ、個人加盟できる国公ユニオンへの加入を呼びかけるとしている。

運動方針についての討議では、「(これまでの国公連合レベルでの闘争経過に対して)組合員には、『何もしていないのではないか』という思いもある。特に(人事院から民間との較差の埋める必要があるとの見解が出された)退職手当では不安も大きい。交渉、協議の過程もわかりにくく、国公連合としての獲得目標が見えない状況にある」(沖縄国公労)といった意見が出たほか、4法案関連では「最後の機会として、とれなかったときにどうするのか、ということも方針として持つべきではないか」(全開発)との提起があった。独立行政法人などを組織する政労連は「現在も国民生活センターの組織改編の問題など取り巻く情勢は厳しい。雇用・労働条件の維持に向け全力で取り組んでいく」などと決意表明した。

認証組合を見据え部会を設立

大会では、規約を改正し、部会をおくことができるようにした。それにともない、「非現業国家公務員部会」を設立した。4法案が成立して、自律的労使関係制度が実現すれば、人事院勧告制度が廃止され、認証労働組合が政府との間で団体交渉を行い、協約を締結して賃金・労働条件を決定していくことになる。

国公連合では、同部会を認証労働組合として、国公法上の職員団体登録をしていくとしている。同部会は国公連合内の非現業国公組織(国税労組、全農林、税関労組、全財務、全開発、沖縄国公労、国交職組、財務職組、金融庁職組)でつくる。制度移行までは、新制度下でどのように賃金闘争を進めるかについてや、協約内容、民間賃金の把握方法、交渉体制・スケジュールなど、研究会を設置して検討していく。